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記野式:サクッと!ゲーム業界講座 4月後半号

こんにちは。ゴールデンウィークに突入しますね。4月も終わるってことは2024年も3分の1が終わっちゃう!ってことですね。ホントに時の流れは早い…。

毎月後半号はセールスデータでいっぱい!のはずなのですが、先に通知させて頂いている通り、アメリカの3月度売上データ『Circana(旧NPD)』の発表が遅れています。したがって、本号ではアメリカ市場データを除く、3月度のヨーロッパ、イギリスのゲーム市場データ、PSNゲームランキング、世界のモバイルゲーム市場データを報告して、次号来月前半号にてアメリカ市場の報告をさせて戴きます。

いよいよ1ドルが155円を軽く突破して155.50円を超える安値がついています。安く買われる日本は、国力としていかがなものでしょうか?付け焼刃な介入というよりは抜本的な改革が求められるんでしょうけど… 国の施策ってスピード感ないですからね。次回のメルマガで「160円になりました!」なんてことがないようにお願いしたいものです。

ということで、本記事での為替レートは1ドル=156円、1ユーロ=167円で計算しています。


<記野式まえがき:プラットフォーム独占の終焉?>

The Ringerの「独占モデルは終わったのか?」というコラムからエッセンスをもらってエンタメ業界の昨今のビジネスモデルを語りたいと思います。

1.独占コンテンツに変化が?HBOがネフリにライセンス!

エンターテインメント業界全体では、サブスクリプションプラットフォームの垣根が取り払われつつあります。ゲーム産業もそうですが、たとえばSVOD(Subscription Video On Demand:定額動画配信サービス)。

『Sex and the City』をご存知でしょうか?1990年代後半から2000年代前半にかけてHBOで放送され、大成功を収めました。若い世代ではなにそれ?って感じかもしれません。笑。

ところが、その『Sex and the City』の続編である『And Just Like That...』がHBO Max だけではなくNetflixで放映されていることをご存知でしょうか?つまり、HBO Max 独占と思われたこの大きなIPが、NetflixにライセンスされNetflix でも視聴できるようになったのです。

New York Times 紙によれば、HBOは昨年まで自社の番組をNetflixにライセンスしないというポリシーを持っていました。しかしながら7月にHBO がNetflixに『Six Feet Under』、『Band of Brothers』、『The Pacific』、
『Insecure』、『Ballers』などのHBOのオリジナル作品をNetflixにライセンスしたことから状況が変わりました。

これらのディールの後、気を良くした(笑)HBOがさらに虎の子である『Sex and the City』の続編『And Just Like That...』をNeflixsにライセンスしたようです。

独占タイトルによって、自社のプラットフォームの優位性を誇示し、加入者を増やそうとする戦略は当たり前に見えます。たとえばDisney+ がStar WarsやMarvel シリーズを独占しているのもそうですよね。

しかしながら、この考え方がもう一般的ではないのかもしれません。HBOからすれば、すでに加入者数は頭打ちで、これ以上売上を上げるために新しいコンテンツを作る、買うのももちろんですが、自社の独占タイトルを非独占化してライセンス収入を得る、というのも一つの考え方ではないでしょうか?

HBOも『The Last of Us』や『House of the Dragon』のような新作は独占を貫いています。しかしながら、これも時間が経てば他のプラットフォームにライセンスしていくでしょう。

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