バナナが嫌いだ。 好きだったことも無関心だった事もない。 ずっと嫌いだ。 バナナの匂いが嫌いだ。 二階建てのさびれたアパート。軋む階段は、足を置いた時と離した時で…
『恐竜文藝』/ティラノ酸欠
2024年6月7日 08:57
2024年5月31日 01:39
バナナが嫌いだ。好きだったことも無関心だった事もない。ずっと嫌いだ。バナナの匂いが嫌いだ。二階建てのさびれたアパート。軋む階段は、足を置いた時と離した時で音階が変わる。先が茶色くなったビニール傘が玄関前に2本並んでいて、薄水色のドアに付いてる「202」と書かれたプレートは、錆びたネジが茶色の涙を流しているようだ。朝、ひどく汚れたガラス窓、破れた網戸、シミの付いたレースカーテンを通って光