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オンライン酒蔵イベントwith伊藤酒造

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2/7(土)「オンライン酒蔵イベント福井の伊藤酒造さんと!Online sake tasting event with Ito Shuzo」
福井県で「越の鷹」を醸す伊藤酒造の蔵元杜氏の伊藤康晴(抵治)さんをお迎えして開催しました。
参加者の多くが海外からの参加者でドイツのメディアに掲載されたため、ドイツからの参加者が多数派で、その他スペイン、フランス、ブルガリア、アメリカ、オーストラリアなどからも参加。
海外からの参加者にもお酒を送付し、同じお酒を味わいながら、蔵元にお話ししていただきました。
ドイツから参加の方が「ドイツで純米大吟醸を幾つか買って飲んだのだが、日本酒は自分に合わないのではないかと思っていた。今日のお酒で考えが変わった」とお話されていたのが印象的でした。よかったよかった!
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【イベント】
▼名称:「オンライン酒蔵イベント福井の伊藤酒造さんと!Online sake tasting event with Ito Shuzo」
https://onlinesakebrewery-itoshuzo.peatix.com/
https://www.facebook.com/events/310705300263896/
▼日時:2021年2月7日(土)17:00~18:30<実際は19時頃終了>
▼参加方法:上記Peatixページから申し込み。料金は別途ECサイトで支払。
▼人数:約25名
▼お酒:180ml×3種
①「越の鷹」SILVER HAWK(シルバーホーク)純米大吟醸
②「越の鷹」YELLOW HAWK(イエローホーク)純米原酒
③「越の鷹」辛口純米吟醸
▼おつまみ
・「浜干し甘エビ」
・「焼き雲丹」
(※)伊藤さんが「お酒に合うもので、自分が美味しいと思っているもの」を厳選。共に「越前田村屋」製。
▼費用:5,000円(税・送料別)
▼方式:Zoom
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<主催>
▼名称:Sake Lovers
https://www.facebook.com/SakeLoversJapan
▼業務内容
https://peraichi.com/landing_pages/view/sakeloversjapan
(※)日本酒の輸出やイベント開催のほか、酒蔵の英語サポート、コンサルティング等を実施。
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【冒頭映像】
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・日本文化と日本酒の関係を説明したオリジナルビデオを紹介。
・福井県の観光ビデオ放映と、Google Earthでの蔵の所在地紹介を実施。
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【蔵の紹介&自己紹介】
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・自分は伊藤家の18代目。当蔵が酒造りを始めたのは幕末だが、父は酒造りを止めようとしていた。そこに自分が戻り、いわば独学で酒造りを始めた(出身は東京農大醸造学科)。
・蔵に戻ったとき、南部杜氏協会の会長さんと、能登杜氏組合の組合長さんの両方が福井県の蔵で仕事をされていた。そこで、酒造りで困ったことがあると、お二人にご相談して、「手間はかかっても安上がりになる方法」を採用してきた。
・最初の10年間は、「辛口純米吟醸」だけを造っていた。それは、「何か賞を取れるようになるまで、これを作り続ける」と決めていたため。8年前に賞を取り、それから新製品を開発。今回提供するシルバーホークは発売して5年目、イエローホークは4年目となる。
・現在の製造石数は100石。自分1人と、パートの若い女性2名で造りを行っている。
・酒造りにおいては、福井県のものだけを使用したいと考えている。また、酒質としては、食事を邪魔せず、キレイに洗しつつ、お酒の旨味を口中に残す、最高の食中酒を目指している。
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<参考:伊藤酒造HPでの伊藤さんの紹介ページ>
http://koshinotaka.jp/touji.html
<参考:「酒蔵プレス」による伊藤酒造さんの紹介記事>
https://www.sakagura-press.com/sakebrewery/itou/
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①「越の鷹」SILVER HAWK(シルバーホーク)純米大吟醸
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・原料米は福井県の酒造好適米「越の雫」、酵母は福井酵母FK-801を使用。FK-801はフルーティさと酸味が特徴。福井県食品加工研究所の先生が開発した酵母だが、自分も開発に参画した。この酵母は福井県内のみで使用可能。
・食前酒として楽しめるほか、サラダやカルパッチョ、パスタなどと合う。
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<参考:「越の雫」について>
https://www.ippongi.co.jp/.../sake.../sake_rice_story002/
(※)「兵庫北錦」を母に「美山錦」を父として交配。平成15年に品種登録。一本義久保本店さんは「潤い・優しさ・なめらかさ」が特徴と説明。
<参考:FK-801Cについて>
https://www.pref.fukui.lg.jp/.../gij.../fil/FK-801Ckoubo.pdf
(※)平成28年度育成。鑑評会出品酒用に FK-501(福井5号酵母)を親として育成した酵母で、酢酸イソアミルとカプロン酸エチルをバランス良く生成。
<参考:福井酵母に関する福井県食品加工研究所資料>
http://agri-renkei.jp/news/docs/20161129seminar_kubo.pdf
<参考:福井県食品加工研究所の開発技術>
https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/021115/gijutu.html
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②「越の鷹」YELLOW HAWK(イエローホーク)純米原酒
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・原料米は「越の雫」と「五百万石」。酵母には「ふくいうらら酵母」(FK-301)を使用。FK-301は米の旨味や甘味を出すのが特徴。このお酒は純米原酒で米の旨みは強いが、「越の鷹」らしく後味がすっきりするように造っている。アルコール度数は17%。
・日本の食べ物なら、おでんや焼鳥。洋食ならポトフなど温かいものと合う。
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<参考:FK-301(ふくいうらら酵母)>
(※)上述の福井県食品加工研究所資料では「平成10年度育成。柔らかなロ当たりとまろやかな味が特長で、様々なタイプの清酒に幅広く使用できます」と説明。
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③「越の鷹」辛口純米吟醸
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・原料米は「五百万石」。酵母には福井酵母FK-501を使用。
・すっきりとシャープな味わいで、「越の鷹」の基本となるお酒。どんな料理でもオールマイティに合う。今回のおつまみでは「焼き雲丹」が特に合うと思う。
・自分が一番好きなお酒。白ワインのシャブリを目指して酒造りを行い、このお酒の生酒がシャブリに近いと感じて造っている。
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<参考:FK-501>
(※)上述の福井県食品加工研究所資料では「平成20年度育成。酢酸イソアミル主体て酸が少なく、繊細な味わいの吟醸酒に適します」と説明。
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【映像等による造りの紹介】
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▼原料処理
・限定吸水の様子。
・蒸米の手掘り。祖父と一緒に作業をしているところ。
・麹用の蒸米は手作業で放冷。掛米は放冷機を使用。
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▼仕込み
・1枚目のタンク写真は「辛口純米吟醸」のもの。次は仕込み室の様子。
・次いで、醪の変化の様子の写真。一つ目は5日目で、まだどろどろしている。二つ目は20日目で発酵により泡が出ている。三つ目は搾る直前で、醪を強制的に冷やしているところ。冷却により、オフフレーバーの発生を抑制する。
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▼上槽
・槽搾り。醪を300枚の袋に詰めて搾る。醪を入れた袋を手作業で折り畳んで槽に並べる作業は、パートさんに手伝ってもらいながら一人で行う。300枚の作業を行うと、翌日は手が固まる。
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【Q&A】
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(問)酒造りのポリシーは。
(答)「自分の好きな酒を造る」ということ。以前は、ターゲット顧客層を考えて造ったこともあるが、そうすると商品バリエーションの幅が狭くなるので、今はそうした考え方は採っていない。
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(問)10年間、辛口純米吟醸を造り続けたとのことだが、その間にどのような点を変えていったのか。
(答)原料処理、特に洗米。なお、洗米は手の感触を大事にしたいため、10kgづつ手で洗米している。130%の吸水率にすると13kgと重たくなるので、パートさんには不評。
また、麹の造り方も変わってきた。キレイな酒質のお酒を造るために突き破精の麹としている。
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(問)南部杜氏と能登杜氏の両方から学ばれたとのことだが、どのような違いがあったか。
(答)南部杜氏さんは香りを出す造りが上手いと思う。麹の造り方からして違う。能登杜氏さんは味をしっかり出すバランスの良いお酒を造るのが得意なのではないか。
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(問)好みのお酒は。
(答)「黒龍」のようにキレイなお酒は目指したい。
また、うちには無い表現をされているお酒もリスペクトしている。例えば、香川の「川鶴」。現在当蔵はキレイな酒質を目指しているが、もし濃い味を造るなら、「川鶴」のようなお酒が好き。
また、自分が純米吟醸を好きになったキッカケになったお酒である長野の「真澄」。社会人になって一升瓶を一人で飲んで潰れたのだが、そこから純米吟醸が好きになった。
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(問)酒母の育成方法は。
(答)中温速醸で行っている。
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<参考メモ:普通速醸と中温速醸、高温糖化酛>
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▼普通速醸
・一般に一旦10度以下に温度を下げ、その後状況に応じて暖気を入れるなど温度コントロールを行い2週間程度で育成。
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▼中温速醸
・当初20度程度の温度をそのまま維持する。育成期間は1週間程度。暖気を入れないので雑菌汚染のリスクを減らせるともいわれる。
(中温速醸について)
https://www.maboroshinosake.com/sake/nihonsyu-dekirumade3/
https://ameblo.jp/yama-u-suke/entry-11127875431.html
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▼高温糖化酛
・まず、麹の糖化酵素の活動する適温とされる55~58度で、5~7時間で一気に糖化を行うとともに、雑菌を死滅させる(酵素は60度で失活するためそれ以上には上げない)。これにより雑菌のいない甘酒を造る。
・次に、乳酸の活性を維持できる40度以下に下げ、乳酸を添加して、雑菌の侵入を防ぐ。その後、酵母が生育できる25度前後に急冷して、酵母を添加する。
(高温糖化酛について)
https://jp.sake-times.com/knowledge/word/sake_kouonsokujyo

上記、イベントメモを詳細にとってくださいました参加者の藤江様に心より御礼申し上げます。

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