「~せずに」と「~しないで」

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 私は日本語学が専門でもないし、別に、「ら抜き言葉」をはじめとする「正しくない日本語」が大嫌いな訳でも、「言葉狩り」支持者でもない。ただ、これまで使ってきた言葉や表現が急に変化し、みんなが新しい用法を「当然」という顔をして使っていると、何だかすごく気になる人間ではある。

※その変化自体がよいか悪いかというよりも、「その変化が気にならない人々」がなぜそうなのか、ということが非常に気になる(笑)

 第一弾は、「~せずに」。

 統計をとった訳ではないが、「~せずに」という表現はここ数年で急速に増え、話し言葉でも頻繁に聞くようになってきた。今の十代の人は「どこが新しいんですか?むしろ古めの言葉だと思って使っているんですが」という感じかもしれないが、ちょっと前までは、みんなほとんどの場合は「~しないで」と言っていた。

 例:

「今日は宿題をしないで」→「今日は宿題をせずに」

「朝食も食べないで」→「朝食も食べずに」

 この表現は全く間違っていないし、確かにやや古めで高等な表現でもある。ただ、今までいつも「~しないで」だったところを、毎回「~せずに」とされてしまうと、何だかやけに気になるのである。

 「~せずに」が流行り出した原因は、私にはよく分からない。ただ、想像するに Twitter その他、文字制限のあるSNSで一文字でも節約できる、という面はあったように思う。あとは、一回流行り始めると(とくに若い人は)みんなつられてゆく、というよくある力学に従ったのだろう。

 繰り返すが、「~せずに」は間違っていないし、今後「~しないで」が絶滅して「~せずに」ばかりになったところで、何かまずいことが起きる訳ではない。ただ私は、2010年頃まではほとんどの人が「~しないで」と言っていましたよ、ということを、この note にでも記録しておかないと、誰も憶えている人がいなくなるのではないか、という不安に駆られて、ちょっと書いてみた次第である(笑)



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