「当面の間」

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 こちらはそろそろ騒がれ始めているが、だいぶよく聞くようになった表現。この表現が「間違い」かどうかに関しては議論があるようだが、数年前まではほとんどの人が「当分の間」か「当面」のどちらかの表現を用いていた。

 「当面の間」が流行り出したのは東日本大震災の後で、さまざまなことが数ヶ月程度中止されたり、臨時の措置が取られたりする中で、「当分の間」は少し(長くなりそうで)やる気がない印象を与え、「当面」ではすぐに再開されそうで「じゃあ、いつなんですか?」と聞かれてしまうので、無難そうな響きがする「当面の間」が多用されるようになったとのこと。

※日本語の表現としては、全然「無難」ではない訳だが...

その辺りの詳細は、こちらのサイトなどにまとめられています。

 そしてコロナ禍。再び数ヶ月程度の延期や自粛が始まり、最近では公的な表示や、スポーツ紙上などプロの書く文章にも「当面の間」が出現し始めた。

 昨日も書いたが、私は細かいことに目くじらを立てる必要はないと思うが、なぜみなさん、「変化」に気付かないのか、なぜ周囲につられるのか、という点に関しては少し驚いている。

 故・山本夏彦氏がよく書いておられたが、百貨店などでの「いらっしゃいませ」は元々関西の表現で、東京では「いらっしゃいまし」だったと。それが、いつの間にか新しく流行した方が「正しく」なってしまい、古い方は「変」などということになってしまう。

 昨今はにわか保守ブームだが、こういった表現に至るまで古いものを大事にしようという姿勢には、なかなかお目にかからない訳で。

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