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アジャイルコーチングのジレンマ: スクラムマスター vs. アジャイルコーチ

スクラムマスターとアジャイルコーチの役割と責任の違いに焦点をあてます。私自身どちらも経験がありますし、またさまざまな書籍や現場で話になることが多いので、現時点での考え方をまとめておきます。

近年、アジャイル開発が広く受け入れられるようになり、多くの組織がアジャイルチームを立ち上げる際にスクラムマスターとアジャイルコーチの役割について悩んでいます。これらの役割は一見似ているように見えますが、実際にはそれぞれ異なる役割と責任があります。本記事では、スクラムマスターとアジャイルコーチの役割の違いに焦点を当て、どちらの立場がより適しているかを自分たちで決められることを目指します。

ジレンマや誤解の例1: スクラムマスターとアジャイルコーチは同じ役割である

スクラムマスターとアジャイルコーチの役割が同じであると誤解している人がいます。しかし、実際には両者の役割は異なり、それぞれがチームや組織に対して果たすべき責任も違います。この誤解が生じる理由は、両者が共通の目標であるアジャイル開発の実践と成功をサポートする点で重なる部分があるためです。しかし、役割と責任の違いを理解することは、チームと組織がアジャイル開発を効果的に実施する上で重要です。

スクラムマスターは、チームがスクラムフレームワークを遵守し、スムーズにプロジェクトを進めることをサポートする役割です。スクラムマスターは、スプリント計画、デイリースクラム、スプリントレビュー、スプリントレトロスペクティブなどのスクラムイベントを時にはファシリテーションし、チームが問題に直面した際に解決策を見つける手助けをすることから始まります。チームの成長、スクラムマスターの成長にあわせてその範囲は広がっていきます。

一方、アジャイルコーチは、どちらかといえば、チームや組織全体がアジャイル開発の原則と価値に沿って行動し、より効果的なアジャイル環境を構築することをサポートする役割です。アジャイルコーチは、スクラムマスターやプロダクトオーナーを含むチームメンバーや組織のリーダーシップに対して、アジャイルの理念や実践方法に関する教育やコーチングを提供し、持続可能なアジャイル文化の確立を促します。

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