見出し画像

言葉と語感とラーメンズ#22 第15回公演『ALICE』後半

『ALICE』全7作品中、後半3作品のお話。

5.甲殻類のワルツ

盗んだバイクで取り乱す。

15の夜。
勢いで盗んだのはいいけど、やっぱりどうしよう…ってなったのでしょう。
甲殻類とは、エビ、カニ、ヤドカリ、シャコなどの節足動物のこと。
サソリ・ロブスター・伊勢海老・ザリガニ・ハサミーマン。
…さて、この中に甲殻類は何匹いるでしょうか?
一見似ているエビの類(たぐい)でも、語感から受け取るキャラや性格イメージが不思議と異なります。

 ロブスター…西洋のエリート貴族
 伊勢海老 …日本老舗の好々爺
 ザリガニ …茶髪でチャラい

伊勢海老、特にいいですねぇ。
漢字の語感にも好々爺感があって、なほ好し。


6.イモムシ

あーやだ。わたし何つまんないことでカロリー使ってんだろ。痩せるわ。
…ウエスト増えるわ。

理想の体型を表す時、しばしば「ボン、キュッ、ボン」という言葉が使われます。
では、痩せるとウエストが増えるもの、なーんだ?
サイズではなく、数で捉えるという発想。
ボン、キュッ、ボン、キュッ、ボン、キュッ、ボン。
人間だったらちょっと(どころじゃなく)怖い。
「虫の知らせ」という言葉がさらりと入っているのも、素敵なポイント。


7.不思議の国のニポン

贅沢の三重(さんじゅう)

どこの国とは言いませんが、47都道府県がこのように料理されるとは。
この作品を見て三重県へ旅行に行き、下記を制覇しました。
 主食…松坂牛
 おかず…伊勢海老
 おやつ…真珠
残念ながら時間の都合上、食後の鈴鹿サーキット3周は断念しました。
宮城県ではずんだ餅と牛タンでリズムをとり、福岡県では博多どんたくでビートを刻む。
言葉から意味ではなく、音を拾い上げて笑いに取り入れる。
正岡子規が開発した、俳句用の色紙。正岡子規式色紙。
言葉がオモシロイ不思議の国ニポンに生まれて、よかった。


●全体を通して

ディズニー映画「ふしぎの国のアリス」の原作である、ルイス・キャロル著の児童小説「不思議の国のアリス」。
実際に読んだことは無いのですが、調べてみるとこの有名な作品、英語の慣用句をもとにした言葉遊びが特徴的なのだそうです。
言葉に関しては「何を言うか」と共に、「誰が言うか」「どう言うか」という点も表現の上で重要なポイントです。
このキャラがこの言葉をこう言うから面白い。
それぞれの作品のキャラや世界観が作り込まれているからこそ、その面白さがよく伝わる公演でした。
不思議の国のニポン47都道府県は、死ぬまでに現地へ旅行して、作中の内容を実践制覇したい。
ちょっとした野望。


次回は第16回公演『TEXT』です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?