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言葉と語感とラーメンズ#12 第10回公演『雀』後半

『雀』全8作品中、後半4作品のお話。

5.人類創世

一万円札には、3匹の鳥が描かれています。なんでしょう?

ヒント:お札の裏に隠れています。
言葉の中に別の言葉を見つける。
日本語を、英語にしたり、アルファベットにしたり、数字に置き換えたり。
最近流行りのなぞトレも、いい言葉のトレーニングになりますね。
柔軟な発想が身につきそうです。


6.ネイノーさん

そうだよー何お前そんなの買ってんのーばかじゃネイノー。

語尾はそのキャラの印象をつくりますね。
「ござる」は武士、「○○でゲス」は下衆な奴。
「○○じゃねーの?」が「ネイノー?」に?
会話が成り立っているのか成り立っていないのか。
しかしなぜか憎めないネイノーさん。
お鍋と大家さんのくだりも、あとでその言葉の意味に気付きました。
おなべ、か。


7.男女の気持ち

…絶対綺麗になってやる…!

化粧品のCMやキャッチコピーでありそうな言葉。
広告などでコピーを作る際、ポイントの一つとして「余白」があります。
その一言の裏側に何があるのかストーリーを想像させる、あるいはコピーを見たその人の経験に入り込み、自分の事だと思わせる。
言外の情報、すなわち余白を使う。
今回の言葉はコントの流れの中で使われていますが、
ラーメンズ・小林賢太郎作品には、時として多くの「余白」があります。
余白を想像することで、「能動的に」作品を楽しむ。
その感覚を味わえるのが、面白さと魅力の一つです。


8.雀

「チュン!」

動物と会話が出来たらいいな、と思ったことはありませんか?
人間だけが言葉を使える唯一の動物か?という問いに対してはいくつかの見解があります。
他の動物たちも、言葉を持たないわけではない。
彼らには彼ら独自の言葉がある、という見方もあります。
また、犬が飼い主にお手をしたり、イルカがショーで人間の指示通りにジャンプしたりする。
その例を見ると、少なくとも人間の「○○をしてほしい」に対する動物の反応は、人間と動物の間で、言葉は介さず心が通じ合っていると考えることができます。
本当の動物の気持ちは分かりません。
しかし人間にとっては、一方的かもしれなくても、心が通じ合っていると思えることが大事であり、そこに癒しや喜び、安心を感じる。
言葉よりも、通じるものがある。
言葉に頼り過ぎず、見るべきものは「心」にあるのだと思います。


●全体を通して

アナグラム、なぞなぞ、比喩、リズム、クイズ、語尾、余白、対話。
言葉を色んな角度から見て考える。色んな使い方をしてみる。
そんな言葉のテクニックの幅広さを感じられる公演でした。
しかし最後の『雀』で言葉を使わない「対話」の在り方を考えさせられる。
広がりを見せて、最後に締める。
もう、さすがの一言です。



今年のラーメンズシリーズはここまで。
来年は、ラーメンズネタは週一を目途に、他の記事と合わせて日々noteを書く習慣を身につけて行きたいと思います。


ではまた。

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