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ノートの下書きを消すたびに思うこと

今ね、悲しいことをしてしまいました。
描き溜めてたノートの下書き、スケッチを消してしまいました。
もし下書きをしていたのがアナログの紙だっなら、消してしまうこと、に躊躇してそのままとっておいたんだろうな、とふと思っています。
アナログなら傷跡だらけのカセットテープやセピア色に変わってく写真みたいに時間の流れが蓄積されていくけれど、デジタルの世界ではそのままの姿で保存されていきます。
例えば、あなたが昔、抑えきれないほどの衝動を持って書き上げた恋文だって姿変わらず保存されていくでしょう。
生々しく新鮮なまま残っていくでしょう。
美しい思い出はそのままに、なんて格好良く言えちゃうけれど残酷なままに時間が止められているのです。
そしてある日、あなたはその生々しいささくれを直視することになるでしょう。
その時、あなたは強烈に消し去りたくなるはずです。
一夜明けたラブレターなんて比べ物にならない、何日も漬け置いたラブレターが綺麗な色の便箋のまま、まだ微かに潤いのあるインクのまま目の前に現れたのですから、消し去りたくなるのも当然のことのように思えます。
そして、ボタンひとつで綺麗に跡形もなく消し去ることが出来るのですから、誘惑に負けてしまうのも無理はないと思います。

以上が事の顛末です。
デジタルの世界では簡単に過去に作り上げたものを消し去ることができます。
同時に、そこに費やした自分の人生の時間と労力、人格も消えてしまうのです。
これは、さっき書き溜めた下書きとスケッチを消してしまった私自身の懺悔。後悔。告白です。
胸の中で色褪せてしまうよりは、せめて今このまま文章に書き留めよう、と思い書き上げました。


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