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ノロイ

あのね、生きていると色んなことがありますよね。
色々な複雑なことが身の上にふりかかってきます。
今回はその中のひとつ。
ノロイ、について。
あなたの本棚の隅、もしくは押入れの奥に追いやられている使っていないけれど捨てられない物はありますか。
私の場合は、なにかの記念品、10代の頃の体育祭Tシャツ、だれかから貰った物、一緒に買った物。
この先使うことはないだろうけど捨てることができないまま追いやられている物たち。
こういうのを総じて私の友達は「ノロイ」と呼んでいます。
私はその呼び方になんとも言えない親しみと憎らしさが込められているような気がして、とても気に入っています。

10代の時に付き合っていた人から貰った黒猫のぬいぐるみがありました。
話しかけると、自分の声を真似して喋り返してくれるぬいぐるみ。
あれを捨てるのは大変でした。
貰ってから捨てるまでに5年かかりました。
これを読んでいる皆さんの中では早い方なのかもしれない。知らんけど。
引越しの時の勢いにまかせて捨てたのを覚えています。
引っ越しをしなければ捨ててなかったのかもしれない。

もう2度と一緒にならないだろう相手に強烈な思い出を残して去っていく方法を知っています。
それはその人が結婚した後に、実は好きだったんです、と伝えること。
なんて残酷なことなんだろうと時々思う時があります。
それもノロイの一種かもしれないですね。
胸に秘めた事をかかえて生きていくのは耐え難いことだと思います。
好きだという真実を打ち明けないままに一生生きていく重みに、その人は耐えられなかったのかもしれない。
そんなふうに考えたら、その人の人間らしいところが愛おしく、そして可愛らしく感じられませんか。
何かの物語に使えそうだな、とずっと考えています。

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