破天荒なAと真面目なB(愛されるAと蔑まれるBの話)
何をやっても奇想天外、いつも大問題ばかり起こしているAと、真面目で人の言う事をよく聞くBがいた。
問題ばかり起こすAはいつも怒られていたが、真面目なBはいつも褒められていた。
しかしBには腑に落ちない点があった。
Aはいつも怒られているが、何故かいつも簡単に許されていた。いや、むしろ怒っているはずの大人たちは時折笑顔を見せ、Aの起こす問題を楽しんでいるようにすら見えた。そして何より問題ばかり起こすAは、皆に愛されているように見えた。
一方Bはどうだろう。
いつもいう事を聞き、人の意にそぐわない事は出来る限り避けているにもかかわらず、稀に失敗してしまうと失望の眼差しで説教をされてしまう。
起こした問題の総量に対して、この仕打ちはおかしいのではないか。それがBの不満であった。
【解説】
人が求めているものは、予想可能な近未来である
Aは元来の破天荒さと問題児の特性から、周りからはAは必ずとんでもない事をしでかす、問題を起こす と信じられていた。
つまり、皆が想定するAの未来は、問題が起きる事を前提に構築されており、イタズラをしても、それは想定の範囲内、むしろそのイタズラを楽しむ余裕すら持たせていた。
そしてAもその期待を裏切らず、常に問題を起こしてきた。それは、自分の思うままに行動する事で、自分という軸一本に従う事で矛盾なき行動が出来ていたからだ。
一方Bはどうだろうか。
真面目でいう事を聞くBに対する皆の想定は、出来て当たり前、変な事はしないという、信頼と言うなの一本道になっていたのだ。
しかしBも人間であり、失敗をする。
その失敗は皆の想定の外にあった。
さらに、Bの軸は他人にあった。人の意にそぐわない事はしないという軸は、数多の他人軸を生きる事、複数の軸を持つBの行動からは一貫性が失われて、それは皆の未来予測をより困難にする不愉快な結果を生んだ。
その結果、表面上怒られていたAが本心では許されていたにも関わらず、表面上褒められていたBが本心では蔑まれていたことの理由だろう。
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