見出し画像

いよわーるど小説 ① 〜無辜の怪物〜

※これは私の妄想考察を下にした妄想小説です。
キショいので気を付けてください。



〜無辜の怪物〜

自慢じゃないが俺はモテる。
顔がいいし女にも優しい。モテないわけがないと言った方がいいかもしれない。
ああ、自己紹介がまだだったな。
俺はただの大学生、よくモテるだけの大学生だ。

いまの彼女は●●●。
3つ年下のいかにも男を知らないって感じのお嬢ちゃんだ。
俺が通っていた高校の文化祭に女を漁りに行った時、儚げに踊るあいつを見かけた俺は、即アプローチを仕掛けた。

最初は邪険に扱われたが、さっき言った通り俺はよくモテる。ほんの数ヶ月であいつは俺のものになった。
年下巨乳の彼女がいるってのはいいもんだ。
最初は儚げだったあいつも、明るくなった気がする。
「恋っていいものね」
なんてことまで言うようになった。

それが2年前のこと。


いま俺はそいつに監禁されている。
どうしてこうなったかって?
わかった、話すよ。その代わり、頼むぜ?


1年前くらいから、あいつの束縛が激しくなってきた。
どうも俺が女をとっかえひっかえしていたっていう噂を耳にしたらしい。
誰からそんなことを聞いたのか問い詰めたら、
クラスメイトのムコって女から聞いたんだという。

ムコとやらは高校時代に入っていた部活の現マネージャーらしい。俺の女癖の悪さは部活内でも評判になっていたから●●●にそれを話したんだろう。

俺は●●●をなだめすかせ、発言を取り消させようと●●●からムコの連絡先を教えてもらった。

驚いたことにあの子はいきなり電話を掛けてきた。
一度俺に会ってみたいと言う。俺も興味が湧いてきたからそれを受け、駅前の喫茶店で待ち合わせをすることにした。

約束の時間の3分前に喫茶店につくと、あの子はもうそこにいた。俺の姿を見つけると、あの子は微笑みながら俺に向けて小さく手を振った。

「笑顔が綺麗だな」そんなことを思った。


本当はその時、俺は●●●との関係を話し、発言の取り消しを求めるつもりだった。そのはずだったんだ。
でも、俺は何も言えなかった。
いくらか世間話をした後、あの子はちょっと表情を変えて俺に聞いた。

「先輩って●●●と付き合ってるんですか? 
あの子、私が彼氏いるのかって聞いてもはぐらかすんですけど、先輩の話を出したときだけちょっと反応するんですよ。」

直感だった。ここで間違えたら後悔することになる。
そう思った。

「いや、彼女とかではないよ。幼馴染的な感じ。妹みたいなもんかな。」

この時俺は正解を選んだと思っていたが、間違いだったんだろう。
とにかく、俺はあの子が純粋な子なんだとしか思っていなかった。俺に会ったのもただ●●●との関係を自分で判断したかっただけなんだろう。
その日は他愛ない話だけして家に帰った。


君の知らないもの 見せてやりたいと思った。

3日後、俺はあの子をデートに誘った。
一度だけのつもりだった。
その1週間後、俺は二度目のデートに誘った。
あと一回、あと二回、いやあと三回出会ったら終わりにしようと決めた。
…そして五回目のデートで俺たちは「正式に」付き合うことになった。
あの子は俺に彼女がいると知らない。

一つの感情がとうてい許されていいものではないことは知っていた。
俺にはすでに彼女がいた。
実のところここ最近あいつはやたらと
重い愛情を強制してくるようになっていた。
なにかにつけて「約束」だの「嘘をついたら」
どうやらああやらばかり 言ってくるので正直うっとうしくさえ思えていた。
自分と同じ量の愛を相手に要求するというのは
ずいぶんとわがままなんじゃないか。
それならずっと鏡に向かって告白でもしてりゃあいいじゃねえか。
今日も雑な言い訳を並べて家を出た。 大丈夫。
単にあいつは俺に愛してもらえなくなることを怖がってるだけで
あの子との関係に気付きゃしないさ。 前から鈍いやつだし。
俺はちゃんと賢くやってるんだ。
今日はあの子はどんな表情を見せてくれるのだろう。
そう考えると自分がさっきまで抱えていた憂いが
ふきとんでいくような気分になった。
しかしあの子にはまだ今の俺の状況について話していない。
罪を二等分してせおわせるのは気がひけるが、
どちらにしろもう戻れはしないのだろう。

俺があの子に真実を話した時、あの子は涙を流した。
薄々感づいていたようだ。初めて会ったときから。

「私、一番が良かった。」

あの子は言った。泣きながら。
俺はその涙を見て●●●と別れようと決意した。


ムコは全部知って俺に近づいてきてたんだと思う。
あいつも俺と同じくらい罪深い怪物だよ、まったく。

ん?
ああ、結局バレたんだろうな。
今日帰ったら机の上になんかあってさ。

読んでるうちに後ろからゴン!
それでこうなってる。
自業自得だって言いたいんだろ?
そんなことはわかってる。

なああんた、もういいだろ?
助けてくれよ。ここから出してくれ。
もうすぐ●●●が帰ってくる。
というかあんたは誰なんだ?
なんでずっと俺の後ろにいる!?
出てこい!顔を見せろよ!


「わかったわ」


「ハイヒール」より


ああそうか。
お前も怪物だったんだな。
無辜の__________






「うわあああああああ!!!」

彼が目を覚ました。
ひどくうなされていたけど、どうしたのかしら。
…まあ、こっち現実の方がよっぽど苦しいだろうけど。

「ねえ、おはよう。」
「外は雨。”そと”に出るのはおすすめしないよ」

「ゆ、夢だったか。そうだよな、って…」

「あら、まだ寝ぼけてるの?
 こんな筈じゃなかったって顔して。」

「何だよ…これ!」

「嘘ついたら針千本飲ますって言ったよね。
 口約束だと思ってたの?」

「わ、悪かった!ムコとは今すぐ別れる…だから!」

おかしいの。まだあの子が生きてると思ってる。
私は彼に1枚の写真を見せた。

「…まさか、お前。」

「昨日の夜までは自分が賢いって信じてたよね。」

「う、そだろ?なあ。」

「嘘ついたら針千本飲ますって言ったよね?」 

「ね?」

「許してくれ、何でもするから!」

「赦すのよ、これから。」

慈悲マーシーでね。」

「ひっ…!」

命短し恋せよ乙女と何処かの何奴はよく言ったもんだ。
ま、言ったのは私なんだけど。
こんなものすぐ壊れるくせに。

振り下ろす。



ああ、幸せ。











元にした考察はこれです。


金をくれたら無償の愛を授けます。