Empty, Save Rooms
ドアを開けると、高い天井とやや入り組んだ造作の壁面が視界に入る。天井の窓からひとすじの光が射している。そこは誰もいない部屋だった。微かに音楽が聴こえてくる。室内のはずなのに森の中のような匂いがして、空気がひんやりと冷たく静まり返っている。薄暗い中を進むと、奥から微かな気配が伝わってくる。音楽のように聴こえていたのは虫の声や風の音が混ざり合ったもののようだった。ここからどこか他の場所につながっているのだろうか。ひとつのことに気がつくと次第に視界が開けていき、微細な部分が見えてく