曲線
https://kyoku-sen.com宮城県仙台市にある本屋です。中心部から少し離れた商店街の小径を入り石畳の道を進んだ先に、築120年を超える建物を店舗とした本屋、曲線はあります。おもに新刊書、少しの古書、ZINEやCDなどをお取り扱いしています。本のラインナップと親和性の高いイベントや展示も行っています。店舗へ辿り着くのがすこしだけ難しいかもしれません。定休日:水曜日営業時間:12:00-19:00曲線に行くhttps://kyoku-sen.com/news/6052d755908654582b775fba(専用駐車場がございませんので、お車でお越しの方は近隣のコインパーキング等をご利用くださいませ。)書籍商 | 宮城県公安委員会許可 | 第221010002085
島田潤一郎|長い読書
※ご予約受付の書籍です他の書籍と合わせてご購入の場合は、ご予約の書籍が入荷次第まとめて発送となります「本を読みすすめるには、ほんの少しの意思が要るーー」日常の時間のずっと底の方にある、昨日読んだ本のこと。あまりにも儚く、言葉にも出せないほどの淡い感覚。読書という体験をつぶさに見つめ、本を読む、この孤独な行為の力と困難さ、そして喜びを称えています。紙の匂い、ページをめくるかすかな音、夜の灯り、時間を刻む時計の音とともに、たくさんの記憶と想いががよみがえる。出版社「夏葉社」を創業した島田潤一郎さんによる、無二の散文集。発行:みすず書房発行年:2024年サイズ:四六判ページ:256P
Wayne Thiebaud|delicious metropolis
ミント色のアイスクリーム、白いメレンゲとチョコレートドーナツ、カラフルなマカロン。それと、まるでケーキのような質感のデフォルメされた都市景観。70年にわたり、アメリカ西海岸の大衆文化を描いてきた画家ウェイン・ティーボーは、見過ごされてきた簡素さと華やかさを体現した色彩で、空気が物体の存在感を響かせるような透明感あふれる空間を描き出しました。抽象的性質を帯びた写実的なイメージは忘れがたく、パステルカラーのスイーツと光を反射する建築物が不思議な調和を生み出しています。本邦初の作品集。 発行:創元社発行年:2024年サイズ:242×223 mmページ:128P
デレク・ジャーマンの庭
1994年にこの世を去った映像作家のデレク・ジャーマンは、晩年、イギリス南東部の岬、ダンジネスに移り住みました。原子力発電所に面した荒涼としたこの土地で、彼は病に蝕まれながらも死の直前まで庭を育て続けました。この本は、庭づくりを始めた1986年から最期の年までのあいだの庭の変移の記録です。 生態系や園芸知識と貝殻、流木、石、オブジェを編み、ひとつの風景が築かれていく様子が、美しい写真とエッセイで綴られている。不毛な土地に生まれた神秘的な庭は、穏やかな時が流れ、ただ生きることを楽しんでいたジャーマンの姿を映し出しています。長らく入手困難だった不朽の名作がこのたび新訳にて復刊されました。発行:創元社発行年:2024年サイズ:B5判変型ページ:148p
戎 康友・鈴木るみこ|みどりの王国
編集者の鈴木るみこさんと写真家の戎康友さんが、美しい庭の造り手である「みどりの指」に魅せられて、イギリスの10ヶ所余りの庭園を訪ねた記録。英国でもっとも美しい個人庭園ウォラートン・オールドホール・ガーデン、オールド・ローズの庭、野原のようなグレート・ディクスターの庭、ヴァージニア・ウルフの庭…。連綿と受け継がれてきた庭園の歴史や思想を紐解き、静謐な生命力が満ちたその庭々のポートレイトを写し撮っています。雑誌「ku:nel」の企画として掲載された記事を再編集、戎さんが訪れたダンジェネスのデレク・ジャーマンの庭「プロスペクト・コテージ」の写真が加えられた写真集。発行:青幻舎発行年:2023年サイズ:A4判変型ページ:144p
山内朋樹|庭のかたちが生まれるとき
庭師であり美学研究者でもあるというユニークなバックグラウンドを持つ著者の山内朋樹さん。京都福知山の観音寺を訪ね、その大聖院庭園の作庭現場のフィールドワークから庭の造形や生態を観察し、その成り立ちを記述しています。石と石、植栽と空間が的確な関係性を持ち、あるべき場所へ配置されていく様子はさながらモノ派の作品のよう。庭だけでなく、私たちの暮らしのなかのさまざまな視線をも変える、庭園の詩学と庭師の知恵がふんだんに綴られています。これまで見えていなかった庭の見方がひとつ増える、新感覚の庭園論。 「ーーあとから据えられた石組が地形の力学を、あとから剪定された植栽が山の植物を、ようするに、あとからつくられた庭が「もとの状態」としての自然を現出させるという狂った事態である。」 発行:フィルムアート社発行年:2023年サイズ:四六判ページ:384p
Robin Wall Kimmerer|コケの自然史
ニューヨークの山岳地帯の森の中で暮らす植物学者、ネイティブ・アメリカンのウィズダム・キーパーである著者による、コケと森と人間の物語。 なぜコケは小さいのか、なぜ境界層に生息するのか、調理に役立つコケやコケが奏でる音…。極小の世界で生きるコケの驚くべき生態とコケを取り巻く自然の営みが詳細につづられています。身近でありながら見ようとしなければ見えない極小の世界の営みを見つめることで、日常風景がいつもと違った姿をみせる。アカデミックでありながら親密で詩的な文体に惹き込まれる、ネイチャー・ライティングの傑作。 発行:築地書館発行年:2012年サイズ:四六判ページ:570P
Read to Sea 個人書店が選ぶいま読んでほしい海の本
"海と人を学びでつなぐ" をテーマに、次世代の教育をデザイン、提供するプラットフォーム『みなとラボ』。本書は、そのウェブサイトで連載している、全国各地の個人書店が「海」をテーマに4冊の本をえらぶ企画『Read the Sea』から生まれました。2023年2月から2024年3月に掲載された37名の書店主による選書と、2つの対談、専門家による海に関する本の話が収められています。さまざまな土地で暮らす書店主と専門家たちが選ぶ多様な海の本。本から広がる海の世界を知り、海への興味を深めるきっかけとなります。私も4冊の本を選ばせていただきました。発行:3710Lab発行年:2024年サイズ:120×188 mmページ:130P
mahora 6号
神話、伝承、自然、手仕事、日常など、ホリスティックで多様な風景を紹介する本、『mahora』。今号では「芸術以前」をテーマに設け、人間にとって創作とは何か、美とは何か、無から有が生まれることの根底に目を向け、芸術が生まれる前の姿を探ります。その他、音楽家の蓮沼執太さんによる制作記、耕作放棄地の野生化を図る上原寿香さんのエッセイ、ごはん屋「台形」の伏木庸平さんのコメントなどを収録。「本のある場所」の歴史と現在を探るページでは曲線も取り上げていただいています。少しだけインタビューに答えるなどしています。 毎号違った結び方で綴じられており、今号は黄緑の紐で「稲穂結び」と呼ばれる結びが施されています。まるで工芸品のような佇まいの小さな本です。 発行:八燿堂発行年:2024年サイズ:四六判変型ページ:120P
安西水丸|1フランの月
パリからリスボンに向かう飛行機の中から始まる物語。穏やかな心地良さが行間からあふれ、幸せな旅を予感させます。パリ、リスボン、マドリード、ローマへ。イラストレーターである主人公が際会する旅の出来事と、日本にいる恋人への手紙、たくさんの出会いと別れ。没後10年となる2024年の節目に、今まで日の目を見ることのなかった幻の小説(未完)が初めて書籍化されました。旅先で手にした宝物についてのエッセイ、写真やスケッチも収められています。繊細にして力強い輪郭線、シンプルな軽快さの中にある郷愁。そんな水丸さんの作品をそのままに表したような大切な一冊です。発行:小学館発行年:2024年サイズ:A5判ページ:176P
声を掬う
仙台市若林区荒浜地区。この海辺の街は、13年前の津波によりそのほとんどが失われ、震災前からある建物で今も町に残るのは、荒浜小学校のみとなりました。この本は、あの日この町で暮らしていたかつての子どもたちのことばを掬い上げた記録です。あの日から何を想い、何を見つめてきたのか。どんなことが楽しくて、悲しくて、辛かったのか。「復興」という大きな単語に集約することのできないひとりひとりの心の機微を、忘れ難い記憶を、丁寧に綴っています。震災は、ほんとうにたくさんのものを奪い、悲しみと絶望をおいていったけれど、彼らの言葉は、それからの日々が悲しみだけではなかったこと、時間は静かに、けれど確かに進み続けていることを伝えてくれます。「私にとって荒浜は、帰ってくる場所です、これからも変わらず。大切な場所です。」(佐藤渚さん)発行:HOPE FOR project発行年:2024年サイズ:A6判ページ:86P
高森順子|残らなかったものを想起する
災害のあった「あの日」をあなたはどう伝えますかーー巨大災害が頻発する日本では、防災や減災を主軸とした「残すべきこと」を目的としたアーカイブがつくられています。本書は、「阪神大震災を記録し続ける会」の活動を続けている、社会心理学者の高森順子さんが編者となり、災害における「想起」という行為とその引力と斥力をキーワードに、失われたものを取り戻すための15のメディア実践を紹介しています。有機的に結びついていく震災アーカイブの実践知から、新たな営みが生まれていく。災害によって大きく変化していく世界を生きる私たちにヒントをくれる、新しいアーカイブ論。発行:堀之内出版発行年:2024年サイズ:四六判ページ:448P
小野和子|忘れられない日本人
"そう遠くない過去に、人間としての尊厳を手放さずに生きた人々のその生は、この狂気の時代にあって、生きることの本来の意味を、深々と見せてくれるだろうーー"(刊行によせて)民話採訪者の小野和子さんによる待望の第二作目の著書。前作『あいたくてききたくて旅にでる』におさめられた8名の民話の語り手たちの「その人」「その暮らし」に焦点をあて、厳しくも豊かな人生と互いの交流を綴った随筆集です。各章にはそれぞれの語り手が記憶しているとっておきの一話も。語られる民話の滋味深さはさることながら、その合間に聞く、その人ならではの人生のおもしろさは、生きた民話の姿であるといえるでしょう。深い土色の表紙カバーを外すと現れるのは、美術家・菊池聡太朗さんの作品「Burned mountain」。荒々しくもあたたかい風景と人びとの暮らしを現したような作品です。発行:PUMPQUAKES発行年:2024年サイズ:A5判変形ページ:324P
小野和子|あいたくて ききたくて 旅にでる
これまで50年にわたり東北の村々を訪ね、民話を求めてきた民話採訪者・小野和子さん。そこで彼女が聞いたのは、民話とともに語られた「民の歴史」、抜き差しならない状況から生まれた「物語の群れ」でした。この本は、採訪の旅日記を軸に、聞かせてもらった民話、手紙、文献などさまざまなかたちのテキスト18編と、小野さんの姿勢に共鳴した表現者たちの寄稿がおさめられています。編集者のあふれるほどの真摯な熱意と、包容力を感じる写真、精密なデザインがみごとなバランスを生み、重厚感をたずさえながらもなんとも軽やかな佇まいをした本に仕上がっています。発行:PUMPQUAKES発行年:2019年サイズ:A5判変形ページ:368P
椋本湧也|日常をうたう〈8月15日の日記集〉
"ーー戦争が終わって最も嬉しかったのは「部屋の電灯が明るいこと」だったと教えてくれた。そしてこう思った。戦争とは日常を奪うものであり、なにげない日常こそが私たちを存在させてくれるのではないか、と。"(はじめに) 94歳の祖母に話してもらった太平洋戦争のこと。その音声を聞いた27名に「8月15日の日記」を綴ってもらった日記集。 ここに書かれているのは27人の個人的な一日です。歴史には記述されないひとりひとりの小さな物語を、ささやかな出来事の連続でやっと構成されている日常を、私たちはどうしたら守っていくことができるでしょう。 日本では戦争を体験した世代が減り、各国では戦争が起こり続けている今、改めて反戦を唱え、今ある日常に耳を傾けるきっかけとなる本。 祖母へのインタビューと寄稿者の日記の朗読を収録した音声版もあります。発行年:2024年サイズ:127 × 177mmページ:168P
オスタップ・スリヴィンスキー|戦争語彙集
戦争は、人びとの人生を激しく様変わりさせるのみならず、新たな説明が必要なほど言葉の意味をも変えてしまいます。バスタブ、スイーツ、記事、ゴミ、林檎。 日常的に使っていた何気ない言葉が戦争によって姿を変え、大切な思い出や美しいイメージが戦争と結びついていくようすが、人びとの証言から浮かび上がります。 ウクライナの詩人が避難者の体験を聞き取り、書き上げた、77の単語と物語。翻訳を担当したロバート・キャンベル氏による現地を訪ねた手記がおさめられています。 「圧倒的な暴力を前にして、たしかに言葉は無力かもしれません。ーー優しくもあり厳しくもある、限りない多面性を備えていることこそが、言葉の力ではないでしょうか。だからこそ、多面性に満ち溢れた現実に向き合うとき、言葉はいつでもまるで暗い部屋で身をすくめる私たちを探し出すかのようにして寄り添い、静かに立ち上がってくれるのです。」発行:岩波書店発行年:2023年サイズ:四六判ページ:286p