オルタードスケールへの理解を深め、確実に演奏できるようになるための簡単な覚え方
サックスレッスンでも、作編曲や音楽理論のレッスンでも、特に多く寄せられる悩みとして、オルタードスケールがいまいちよくわからない、オルタードスケールで躓いている、ということをよく伺います。
そこで、今日は、オルタードスケールへの理解を深め、簡単に覚えられるようになるためのコツや、よくあるlick(=フレーズ)などについて書いてみます。
(1) オルタードスケール(altered scale)について
まず、オルタードスケールの語源の由来について
altered = (形) 何か他のものになることなく、形または性質を変える
オルタードスケールについて言えば、本当に上記の由来通りで、ドミナントコード(7thコード)、つまり、ミクソリディアンモードにありながら、その性質が変わるというものです。
C7コード、つまりCミクソリディアンスケールをもとに考えてみると
①ドミナントコードであるための最低限の性質を維持
*ルートはそのまま:Cは残す
*コードの特徴を決定づける2つのガイドトーンはそのまま
・E(3rd):長調を維持するために
・Bb (b7th) :ドミナントコードであることを維持するために
*5thを省く:Gを省く
存在しなくても、ドミナントコードの性質は維持できるため省く
②ルートと2つのガイドトーン以外の音を全てテンションノートに置き換える
・9th(D) → b9th (Db)および #9th (D#)に変更
・11th(F) → #11th (F#)に変更
・13th(A) →b13th (Ab)に変更
そうすると、ドミナントコードの性質は維持したままで、元々のドミナントスケールから一番離れた響き、つまり、皆さんが「ジャズらしい」「ジャズ的な」と感じるような音の並びや響きが生まれます。これがオルタードスケールです。
(2)オルタードスケールの簡単な覚え方
オルタードスケールを、シンメトリカルホールトーンスケールと呼ぶ方もいますが、下記のように、となりあう音のインターバルが、
半音、全音、半音、全音、全音、全音
となっていて、この順番を記憶しておくととても便利です。
シンメトリカルディミニッシュスケールというのは、また別に書いてみますが、2つのディミニッシュスケールを組み合わせたもので(日本の理論書にはコンビネーションディミニッシュ、俗にコンディミと言われますが、これは、和製英語で日本独特の呼び方です)、このスケールの前半がそうなっていますね。後半はホールトーンスケールです。
私は、HWHWWWと覚えていますが、この並びを覚えておくと、スタートした音(ルート)からそれぞれ半音、全音、、、と音を紡いでいけば良いので、とっかかりが簡単になり、全てのキーでとても練習しやすくなります。おすすめです、ぜひやってみてください。
(3)代理(裏)コード(substitute dominant)との関係
まずは、前述項目の理解と復習を兼ねて、Gオルタードスケールを書いてみましょう。
ルートG、ガイドトーンB、Fを残し、Dをなくす。テンションコードは、Ab, A#,C# Eb、と考えた方、はい、正解です。
HWHWWWインターバルを利用して、順にG,Ab,Bb,B,Db, Eb,F と書かれた方、こちらも正解です。
そして、このスケールを、トライトーン(増4度)の関係にある音、つまりDbから並べ直してみてください。
代理コードのコードスケール、つまりDb lydian b7スケールになりましたね。
「オルタードスケール=代理コードのコードスケール(lydian b7)」
つまり、オルタードスケールを演奏するということは、代理コードのコードスケールをスタートする音を変えて演奏する、極めてシンプルなことなのです。
(4)オルタードスケール由来のjazz lick(フレーズ)のいろいろ
オルタードスケールそのものについてと、そのサウンドを定着させるにあたって、練習しやすくなるための覚え方のコツについて説明しましたが、下記有料エリアでは、
・全ての調(12keys)でのオルタードスケールを掲載
・オルタードスケール由来の典型的なジャズフレーズ(licks)集
ご覧いただけます。よかったら、答え合わせを兼ねて、ご使用ください。
フレーズ集は、いろんなlickを載せていますので、よく使ってたこのフレーズはオルタードスケール由来だったのか!?という気づきもあるかもしれませんし、耳慣れないけれどなんかカッコいい!とか、とてもかっこいい!と感じるものもあるかと思います。
オルタードスケールからのアドリブのアプローチは、チャーリーパーカー初めビバップの時代から多くの名手たちの間でとてもよく使われて、とてもジャズ的なサウンドと言っても過言ではないと思いますので、是非ご自身のアドリブや作曲の表現に、どんどん取り入れてみてください。
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