和歌山の夢の学校。その舞台とは。

2020年の8月に「学校を造る」と閃いた時、バババっと浮かんできた夢の学校の構想を書き留めておきたいと思う。まずはイメージするその舞台から。

学校の舞台:和歌山市の和歌浦、雑賀崎。子供たちの学びの場は学校の中のみならず、和歌浦、雑賀崎を学びの場として街の中でも活動する。

私が生まれ育った実家から車で10分と掛からないところにある和歌山市内の雑賀崎・和歌浦エリア。20歳の時からこの場所は常に私の脳裏から離れない。それはこんなエピソードが由来している。私は20歳の時に約半年間、イタリアのフィレンツェに留学した。アメリカのシラキュース大学のプログラム、プレ・アーキテクチャーコースに参加するためだ。その間、私はアメリカ人2人とジャマイカ人、台湾人の5人でルームシェアをし、ある週末みんなで世界遺産の街、リグーリア州のチンクエテッレを訪れた。チンクエテッレは5つの小さな漁村が連なる海を見張らず絶景の観光地。日本でも良く紹介されているから行ったことがある人もいるかと思う。その日、私たちは電車で目的地を目指し、到着すると早速絶景ポイントを目指してハイキングを開始した。しばらくハイキングコースを歩くと景色が見えてくる。よし休憩!ルームメイト達は隣で感嘆の声を上げている。そして私もと振り返ったその瞬間。私の目の前に広がった景色を見て私はこうつぶやいた。「ここ和歌山の雑賀崎やん!!!!」衝撃が走った。もちろん、価値に気づき、綺麗に保存されたその美しい町並みには全く及ばない。(イタリア人には本当に学ぶことが多い!!)しかし少なくとも、そこから見晴らす海の景色であったり、傾斜に並ぶ家屋の風景は、雑賀崎をすぐに連想させるものであったのだ。

この時から、私の和歌浦・雑賀崎への特別な想いが芽生えた。定期的にこの場所を想い、どんどん寂れていく様子に胸を痛め、もったいない、何かしたい、という想いが長くある。最近ではとりあえず別荘を買おうかと、物件を探したりしていたほどだ。(ちなみにこのエリアでは、約200万もあれば一軒家が買えてしまう。ただし、再建築不可だけど。この話はまた今度。)

そしてその後もしばらくの時を過ごしたイタリアはミラノでの生活は、私に故郷である和歌山への興味とアイデンティティーを産み出してくれた。

何せ、田舎からミラノに来て仕事をするイタリア人は週末になると必ず実家の元へ帰るのだ。たまにではない。毎週だ。なので週末のミラノは人が少なく落ち着いている。イタリア人は自分の故郷が大好き。和歌山から東京へ上京し、その後ミラノに渡った私には驚きだった。みんな一人残らず言う。どの街が好き?そりゃ自分の街だよ!!そしてその地元自慢話は延々と続く。そして、イタリア人にとって家族は自分を形成する最も中心的な存在だ。だから週末は必ず実家に帰り、家族と時を過ごす。これは学生だけでなく、30代や40代になっても変わらない。(ちなみに土曜の夜は、地元の友達たちとピッツェリアに行くという習慣もあるけど。)その中心には食卓があって、美味しいものを食べ、ワインを飲みながらゆっくりと時間を過ごす。

和歌浦、雑賀崎についてもう少し言及しておく。和歌浦湾を見晴らす絶景の場所にある和歌浦は平安時代の万葉集に詠まれる程歴史が長く、その句にも登場する片男波ビーチは大阪方面からも多くの人が訪れる。特に徳島に向かって沈む夕焼けは絶景だ。和歌浦はかつて温泉街として栄えたが、私が物心ついたころには既にさびれた旅館街と化していた。父が子供のころには大阪から来る多くの観光客が浴衣で闊歩する光景が見られたらしい。そして和歌浦の一部でもあるエリア、雑賀崎は漁村であり、(和歌浦と雑賀崎は隣接している。)湾の漁港に向かった斜面にはびっしりと家屋が立ち並ぶ。こちらも今若い世代がどんどん離れ、空き家問題や漁業の後継者不足に悩んでいる。

そして。。この和歌浦エリアはこのままだともうあと10年もすれば、エリア全体が更に廃墟化してしまうだろう。今中国資本は逆にどんどん参入してきていて、閉館した旅館に火はともってきてはいるが。。どうして自分達の街の美しさに気づけないのか。どうして自分達の街を、活性化させて、こんなにポテンシャルがあるこの場所を有効活用できないのか。ここは、和歌山市内にあって大阪市内からもたった1時間強。そして関西空港からは、たった35分で着いてしまうような立地。何かアイディアがいる。そんな時に閃いた、「そうや!ここに学校造ったらいいやん!」は、全てを解決する糸口になりえる。街に開かれた学校は、街の人を元気にもできる。街づくりや地域貢献を学校の教育方針に取り入れてしまえば、子供達の大きな学びにもなるし、街も活性化できる。学校が魅力的になれば、他の街からここに移住する人だってでるかもしれない。そして何よりも、子供たちはこの美しい風景を見ながら、学校生活を送ることができるのだ。

次は最初に想い描いた「夢の学校の構想」について書きます。



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