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フィンランドの教育を考察。

ご存知の方も多いと思うが、フィンランドは2000年代前半、3年ごとに実施されるPISAと呼ばれる学力テストで各カテゴリーの平均が最も高かった国であることを皮切りに世界中がフィンランドの教育に注目している。(しかし2018年に行われた最近のPISAでは北京、マカオ、シンガポール、香港などのアジア圏が上位を独走中、日本も常に上位にはいます)という訳で早速こちらの本を拝読。

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平等社会フィンランドが育む未来型学力
ヘイッキ・マキパー著 明石書店 (2007/5/15)

まず、フィンランドは日本とほぼ同じ面積に人口は約520万人。日本の約25分の1。ご存知の通り、様々な社会保障が税金で賄われ、教育に関しても大学卒業まで完全に無償だ。国家予算の18%!!が教育に当てられる。フィンランドの教育政策は国を挙げて特に1999年~2003年の間に上がったという。(日本は9.4%)基本的には基礎学校と呼ばれる学校で9年間義務教育を受け、その後は普通高校もしくは職業学校に進学する。その後普通高校の生徒は大学へ、職業学校は専門大学へ進学するのが一般的で、どちらの方が社会的地位が上という考えはない。

幾つか参考になることがあったのでメモ。

フィンランドには都市と地方の教育格差が無い。

まずはフィンランドでは驚くことに、そして国全体が掲げる地域復興政策の元、地方へ人口を移動させるための政策として都心部でも郊外でも、教育における地域格差が無いということ。和歌山で学校を立ち上げるからにはここに注目したい。そのための重要ポイントが、やはり教師。

教師配置について。

教師たちは、安全な教育環境、安全で落ち着いた生活環境、美しい自然環境、刺激があって子供に優しい環境こそが自分達の人生に価値があると考えはじめました。また地方自治体の多くが、それらの要素を上手く使って教師達にアピールを始めました。

これだー!日本でも震災や今回のコロナをきっかけに地方への移住者が増えているが、和歌山って、最初にも言った通り大阪から約一時間の通勤圏、ちょい行けば海有山ありの自然だらけ、食材は豊富で何より家賃や土地が安い。おまけに関空まで40分。もう、子育て世代だけじゃなく、先生にも本当住みやすい街なんですよー!これ、きちんとアピールしていかないと。

学校を立ち上げるに当たって先生が働きたくなる学校作りいうのは絶対に欠かせない。日本では教職への人気が無くなっており、人手不足が深刻だからだ。子供に教えたいという願望があっても、モンスターペアレンツやいじめ問題、長期労働など、巷で聞く話で諦めてしまう若者が多いであろう事は簡単に想像が付く。

サステナブル教育

国連が「2005年~2014年までを持続可能な開発のための教育の10年とする」と宣言したのを受け、フィンランドではしっかりとサステナブルな考え方も学びの中に組み込まれている。

IT技術を学校づくりに活用

もうそんなこと当たり前じゃない?と思ってしまうけど、日本の公立では今回の新型コロナでようやく一年以内に子供たちに一端末持たせることが決まったそうだが、何せいまだに教師にすらPCが配布されていないところもあるいうのだから本当に絶句だ。。

フィンランドの生涯学習

フィンランドでは、子供たちの教育環境だけでなく、オープン・ユニバーシティーと呼ばれる大人たちも常に学び続けられる環境が整っている。大学、専門学校、職業学校、特殊職業学校、コミュニティカレッジ、市民カレッジ、スポーツ訓練センター、音楽学校。。などなどその舞台は多岐にわたる。人数にして、常に約10%の大人が、教育を受けているらしい。失業者や失業の恐れのある人に提供される雇用就業訓練が特徴の一つとのこと。

フィンランドでは、当然IT技術をいかに教育に取り入れるかという取り組みは2004年頃から積極的に行われている。日本は15年遅れている。

そしてフィンランドと言えば、世界最年少で34歳のサンナ・マリン氏が女性首相となったことは記憶に新しい。それだけでなく新内閣は19人中12人が女性で30歳前半の女性が大半!しかもちなみに彼女は女性同性愛者の二人の母を持つ家庭で生まれ、裕福な家庭で生まれ育ったわけではない。「福祉制度と教師が救ってくれた」と語り、社会支援の重要性・平等の大切さを身をもって感じた経験から政治家になったらしい。もちろん国民の考え方が日本とは全く違うのであろうとは思うが、

誰もが平等に、無償で国の最高教育を受けることができる。このフィンランドの教育実態が、ここまで国を変えているのだ。


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