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10周年

早いものでもう11月。今年は我が音楽教室の10周年にあたり、先月はその記念パーティーなども密やかに開いてお祝いした。
10年あっという間とは言え、開講の翌年には東日本大震災に見舞われ、西の方へ避難した生徒さんがいたり、自分自身もあまりの衝撃に半年ぐらいは空っぽになったり。そして今年はこのコロナ。なかなか一筋縄では行かなかったけれど、音楽を教えることも人に関わることも、発表会などイベントを企画することも好きなことだったのでやり甲斐があった。

始めて数年間はやれ、ブランディングだ差別化だ、、、と言われて頑張ったけれど、続けていくうちにそういったことは自ずと表面に浮かび上がり、わざわざ主張する必要がなくなってくる。音楽教室はローカルビジネスでもあるから、土地柄にも多かれ少なかれ左右されるし、必ずしも自分が最初に思い描いた方向そのまま真っ直ぐ進むわけでない。目標に向かって突き進むだけではなく、その教室なりの「育てる土壌」が耕されていくことに任せる「おおらかさ」も必要。

10年に渡って教室を続けているうちに見えてきた私のテーマは、音楽大学に進学する音楽家を育てることではない。縁があって習いに来てくれた生徒さんが、この先の人生で音楽と幸せな関係を続けていくための指導でありサポートだ。とっても緩いテーマのようだが、現実的な話をすれば部活や受験をきっかけに辞めない流れを作らなければ実現しない。この少子化時代では、それができなければ教室の運営も長続きはしない。間口の広い大手には宣伝力があるし、音楽教育全般の活性化に大きく貢献している。ただし生徒数を集めることに重点置けばそれは月謝に反映され、講師の給与やモチベーションへ、そしてレッスンの質にも影響が出るし、それが生徒さんの満足度や音楽への意欲にも関わってくる。その大手から切り捨てられている部分に目を向けて、小さいお教室は小さいビジネスを展開していく。日々のレッスンで生徒さん一人一人の発する声に耳を傾け、向き合いながら試行錯誤を続ける中で、目指すべき方向が見えてきた。しかし、移りゆく時代と共に生きている以上、最良最善の回答に達することは一生ない。常に変化を恐れずに成長し続ける覚悟で、また新たな10年で何をするべきか考えている。





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