ある老人の語り
ある老人と鳩時計のある部屋で話をしていた
老人は盲目だったがその分知見に長けている
私は言う
幹は細く少しの風でも揺らいでしまう
咲いた花の花びらもその風で飛び散ってしまう
幹がもっとしっかりと根を張ってくれたら
老人は答えた
水と土を元にして
幹を太くすることが出来る
湧き水は清々しく
土は養分を蓄えている
その栄養を受け取って
伸びていく
しっかりと
養分を吸い上げて
太い幹になることが出来ると
老人は静かな佇まいでゆっくりと話してくれた
老人も鳩時計も時と共に磨かれていたのだろう
木々もその年月と共に根を張って太い幹になっていくのだ
クラシカルな鳩時計が時を告げる
その木も年月をかけて今時を教えてくれる
窓の外で奏でられる葉の揺れる音と
部屋では鳩時計の時を告げる音が響き広がっていく
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