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カサンドラ症候群:「もう少し」は通じない

夫のASD傾向を強く感じるようになったのは子供が生まれてからでした。
それまで妻の愛情を独り占めできたのに、子供が生まれたらそうはいかないものね。彼にとっては死活問題です。


カサンドラってなに?という方は、先にこちらをご覧くださいね。

娘が幼稚園に通っていた頃、幼稚園友達とその母たちの溜まり場は、幼稚園近くの運動場でした。

広い芝生の広場があって、水遊びができる井戸水の池があって、幼稚園で遊び足りない日の子どもたちにとって、そこは最高の場所でした。

母たちとっても、子供が遊んでいる姿を見守りながら、おしゃべりに花を咲かせることもできる、格好のスポットでした。

ある日、夫の仕事が早く終わり、私と娘を迎えにきてくれることになりました。
私にとっては、ラッキー♪
だけど娘にとっては、「お迎え」って遊びを中断される、ちょっと厄介なモノだったりします。

そこで私は、颯爽と登場した夫に「もう少し待ってあげて」と伝えます。
なんとなく・・・ね。
今ここで、トップスピードで回転している遊びの輪から、我が子を引き離してしまうのは、違う気がしちゃってね。

でも夫には「もう少し」は、通じません。
5分後には、子供たちがワイワイ遊んでいるすぐそばに、一人仁王立ちしている彼がいます。

いつしか母たちもざわざわ・・・。
すぐそばに無表情で仁王立ちしてる夫がいるんだものね、無理はないです。
「ねぇ、旦那さん、怒ってるみたいよ・・・帰った方がいいんじゃない?」
うん・・・私も、なんとなくそう思うんだよね。
仕方ない・・・帰るか。

そして帰り道、夫に聞きます。
ごめんね、だいぶ待たせちゃったのかな?
「うん。もう少しって言われたから3分くらいだと思ったから・・・」


・・・そうだったんだね。
夫にとっての「もう少し」は3分だったんだね。
私にとっての「もう少し」は、子供が遊びに満足した頃合いを見計らったタイミングだったよ。


ここで、カサンドラ妻は「私が間違ってたのかも」って自分を責めてしまいがちじゃないかな(私がそうだったから)。

でもね。
夫と私の解釈は違ったんだね。
なるほどねー。
そうきたかー。
・・・くらいの受け止め方ができたらいいよねぇ。

その時の私には、できなかった。

「またわかってもらえなかった」
って落ち込みました。
そして、夫に理解してもらえない自分は、ダメな自分なんだなって、さらに落ち込みました。
一方で、「もうちょっと遊ばせてあげて」って言ったんだから、子供たちの遊んでる様子を見て、キリのいいところで声をかけたらいいのに…とも思いました。

今ならこう言うと思う。

迎えにきてくれてありがとう。
あなたが早く帰りたい気持ちはわかるけど、まだ遊びで盛り上がってるから、よかったらもうちょっと一緒に、子供たちが遊んでいる姿を見てみない?
具体的には10分後くらいかな。でも変更の可能性があるから、またその時は相談するね。

このくらい具体的に伝えてあげたら、ASDまたはグレーゾーンの彼らも、ちゃんとわかってくれると思います。
そして一緒に、子供たちが夢中で遊んでいる、幸せな光景を楽しめるんじゃないかなぁ。




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