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人が増えない協会が抱えるある特徴

協会総研は宗教や政治団体とは無縁だが、宗教の仕組みについて考えることで協会の仕組みのヒントになることがあるため、たまに宗教を話題にしている。
今回もその1つだ。

今回は

  • 宗教という組織

  • プロの集まり

この2つを比較してみたい。

世の中にはいろんな宗教がある。
それぞれの宗教は独自の教義や信仰を持つ。
宗教は、人々の心の中に存在する信仰や価値観をを通じてコミュニティを形成する。
社会から好意的に評価されている宗教もあれば、うさん臭いと感じられたり、怪しい、危険と思われるものもある。
社会問題になるようなものも存在する。
要するに玉石混交、いろいろある。

それはさておき、多くの宗教に共通しているのは
「信者が増えることを他の信者が 嫌がらない」
という点だ。
「これ以上、信者が増えては困る」と感じる信者がいる宗教は少ない。

基本的に新しく信者が生まれるのは、既存の信者にとって迷惑ではない。
信者が増えることは、その宗教の教義や価値が広まることを意味し、それは多くの信者にとって歓迎されることだ。
宗教の信者同士は、共通の信仰や価値観を共有することで、深い絆やコミュニティを形成する。
このような関係性は、信者が増えることを歓迎する大きな理由の一つとなっている。

これに対し、プロの集まりは性質が異なる。
たとえば弁護士の場合。
弁護士は花形資格の一つだが、今は競争が激しい。
「司法試験に受かればあとは安泰」という時代は終わっている。
その結果、同業の弁護士が増えるのを良く思わない弁護士も増えているようだ。

同様のことは歯科医にも言える。
歯科医も花形職業のはずだが、「コンビニの数より多い」と言われるまで歯科医院が増え、人気の歯科医とそうでない歯科医の格差が拡がっている。
ワーキングプアの歯科医も出現している。
その結果、同業の歯科医が増えるのを迷惑と感じる歯科医も多い。

弁護士や歯科医の増加は、その分野でのサービスの供給が増えることを意味する。
しかし、需要が供給を追い越さない場合、競争は激化する。
これが、同業者の増加を歓迎しづらい背景となっている。
同業者が増えることで、市場のシェアや収入の減少、さらには職の安定性に対する不安が生じる
こうした懸念が、プロの職業における競争の激化を生む。

このように、かたや、宗教の信者は「信者が増えるのを嫌がらない」。
かたや、弁護士や歯科医は「同業者が増えるのを嫌がる」。
この違いはどこから来ているのだろうか。

その答えは明白だ。
宗教の場合、信者同士は仲間であって、ライバルではない。
弁護士や歯科医の場合、同業者はライバルであって、仲間ではない。
この「構造的な違い」があるため、宗教はどれだけでも拡大することができるが、弁護士会や歯科医師会は一定以上大きくなることは難しい。

宗教の場合、人数が増えることに対するブレーキはほとんど存在しないが、弁護士会や歯科医師会では、一定以上人数が増えると内部でのブレーキがかかる。

この話を協会に照らし合わせてみよう。

あなたの協会の会員は、仲間だろうか?
それともライバルだろうか?

あなたの協会の既存会員は、新たな会員の増加を好意的に受け入れてくれるだろうか?
それとも「これ以上ライバルが増えるのはいやだ」と感じるだろうか。

協会が成長するかしないかの原因は、このような点にもある。



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