資格の「向こう側」に行ってみよう
はじめに
現代社会において資格は、ある専門性を持つことの証明として大きな役割を果たしている。
しかし、その一方で自らが資格の発行主体となることにより、さらにその分野での地位を確立し、多方面での利益と人脈を拡大するという新たな可能性も注目されている。
今回は、資格取得から一歩進んで、資格を発行する立場になることのメリットと、そのための民間資格の位置づけ、さらには養成講座を開くことの意義について掘り下げてみる。
取得する立場→発行する立場
資格を持つ側から発行する側へ何らかの専門性を売りに活動している人のなかには、
「専門性があることを証明するために資格を取得している」
そういう人は多い。
しかし、その専門性がじゅうぶんにユニークなものであるならば、
「資格を取る側」「資格をもらう側」「資格を持つ側」
を卒業し、
「資格を発行する側」「資格を与える側」「資格を認定する側」
になってみる
と面白いだろう。
たとえば
「〇〇指導士」「〇〇マスター」「〇〇アドバイザー」といった資格をあなたが発行する
というわけだ。
資格発行の魅力
おおざっぱに資格には
国家資格
民間資格
がある。
あなたが事業として資格発行を始める場合、その資格は民間資格となる。
民間資格を発行するのに、許可を取ったり届出をしたりする必要はない。
自由に資格を出すことができる。
「資格を発行する側になる」という選択には、3つの利点がある。
【1】その分野の中心的存在になりやすい。
資格の「総本山」であるあなたのところには、コンサルの依頼なども入りやすくなる。
【2】収益の柱をいろいろ作れる。
「資格認定のための講座や試験」「教育コンテンツ販売」など、関連する多くのサービスや商品を提供できる。
【3】人脈が拡大する。
あなたから資格を受け取った人たちが、そのままあなたの人脈になる。
国家資格でなくてもいい
民間資格には、国家資格のように法律の支えがあるわけではない。
にも関わらず世の中には多くの民間資格が存在している。
民間資格に対する需要があるからだ。
法律で守られた特権がなくても、人は民間資格を持ちたがる(日本人は特に)。
なぜか。
1つには、民間資格でもそれを取ることで「知識や能力があることの証明」に使える場合がままあるから。
もう1つには、同じ資格を持つものどうし、連帯が生まれやすいから。
養成講座
同様の発想で
「養成講座を受講する側」を卒業し、
「養成講座を主催する側」になってみる
というアイデアも、検討に値するだろう。
実際、養成講座は、何らかの専門性を売りに個人で活動している人に向いている、事業モデルの1つだ。
向いている理由:
持っている知識・経験・スキル・ノウハウを講座という商品にできる。
少ない元手で始めることができる。
養成講座の受講者が新たな人脈となる。
養成講座を受講した経験を活かし、受講者の視点を持って取り組める。
養成講座は、「基礎講座→応用講座」といった2段階、あるいは「初級講座→中級講座→上級講座」といった3段階に設定することもできる。
段位制をとりいれるなどして何段階にも設定するケースもある。
資格取得者の2つのタイプ
資格の話に戻る。
民間資格には、大きく分けて2つのタイプがある。
認定講師型
1つは、「資格を取れば自分もその講座を開くことができる(=認定講師になれる)」という資格。
資格を取った人(認定講師)は、そのあと自分で受講者を集め、同じ講座を開く。
その際、認定講師が「本部」にマージンを払う仕組みが作られる場合もある。
このタイプの資格を取る人は、もちろん「認定講師になりたい」人だ。
「お金」「仕事」「副業」など、資格の実利的な側面に強い関心のある人たちとも言える。
そのかわり、認定講師になるつもりのない人は、この種の資格には興味を持たない。
非認定講師型
もう1つは「知識やスキル、力量を持っていることを証明するだけの資格」「所定のカリキュラムをマスターしたことを証明するだけの資格」というタイプの資格。
この後者では、資格を取ったからといって認定講師になれるわけではない(そもそも認定講師の制度がない)。
このタイプの資格には、成長意欲の高い人、学ぶことそのものに興味のある人が集まる。
「今の仕事に役立てたい」という人も、こっち(後者)のタイプ。
「今の仕事に役立てたい」という人は一見、実利を求めているように見えるが、案外とそうではない。
「今の仕事に役立てたい」という人は、認定講師になりたいわけではなく、仕事に役立つ何かを「学びたい」のだ。
まとめ
「資格を取得する側」から「資格を発行する側」へと立場を変えることは、自身の専門性をさらに拡張し、その分野における中心的存在へと成長する大きなチャンスといえる。
民間資格の発行や養成講座の開催は、法的な制約が少なく始めやすい一方で、収益源の多様化や新たな人脈の創出という実利にもつながる。
資格の種類や目的に応じた戦略を立てることで、それぞれのニーズに合ったサービスを提供することが可能とななる。
自分自身の能力を世の中に広め、それを通じてさらなる成長を目指す人にとって、資格発行は魅力的な選択肢の1つであることは間違いないだろう。
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