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見つめるナッジ

「ナッジ」とは、おおざっぱにいうと、
人間の心理を利用して行動を促すさりげない仕掛け・優しいテクニック
を指す。

たとえば…

子供が玄関でスニーカーを脱ぎ散らかすのを何とかしたいと思う母親がいた。
玄関にチョークで靴跡を描いてみた。
すると子供は、靴跡にスニーカーをその靴跡にあわせて置くようになり、脱ぎ散らかしがなくなった。

ナッジとは、こういう感じのもの。
無理やり感はない。
ナチュラルに人を動かす。

あるナッジの専門家から聞いた話。

自宅の洋式トイレを使うときに、男性は座らずに立ったままが多い。

本人はあまり気づいていないようだが、あれはあまりよくない。
飛び散るからだ。

言葉でそれを指摘しても、なかなか直らない。
困った家族がそこで考えたのが、トイレのフタの裏に「あるもの」を描くことだった。

何を描いたかというと、大きな目を2つ。
フタを開けると、その2つの目がこっちをじっと見る。

お分かりと思うが、立ったままするときはその目と対峙しなければならない。
けっこう、不愉快です。

以後、男性は座るようになったという。
座れば、2つの目のイラストは背後になるので、意識しなくて済む。

トイレのフタの裏に大きな目を描くというアイデアは、直接的な指摘や禁止ではなく、利用者に対して心理的なプレッシャーをかけることで行動変容を促す例だ。

大きな目が人間に与える心理的影響は、「監視されている感覚」に根ざしている。

人は他者に観察されていると感じるとき、その行動が社会的な規範や期待に適合するよう変わることがしばしば見られる。

これは「社会的規範の影響」とも呼ばれる。

トイレの利用に関して言えば、立って用を足す行為が「監視されている」感覚により抑制され、社会的に受け入れられる行動、すなわち座って用を足すことへと導かれる。

こうしたナッジのアプローチは、考えること自体も楽しいことが多い。
罪のない面白いイタズラを考えるのに似ている。

協会への応用を考えてみた。

会員カードに目を描く

会員が会員証を見るたびに、大きな目が見つめ返しているデザインを採用する。
この視覚的なナッジは会員に協会の存在を常に意識させ、協会に対して何か貢献しようという気持ちを促すかもしれない。

貢献度に応じたバッジシステムの導入

会員が協会への貢献度に応じて異なるバッジを獲得できるシステムを作る。 これらのバッジには、励ましや感謝のメッセージが含まれており、目の形をした特別なバッジもある。
会員は自分の貢献が認識され、目に見える形で評価されることを実感し、さらなる活動へのモチベーションにつながるかもしれない。

会議室やイベントスペースに目を描くポスターを配置

会議室やイベントスペースに、大きな目が描かれたポスターを配置する。
会員が協会の活動に参加している間、自分たちの行動が協会全体に影響を与えていることを意識させるため。
このナッジは責任感を高め、より積極的な参加を促すかもしれない。

メールの署名などに「見守る目」を描く

協会からのメールの署名に、メンバーを見守る目のイラストを含める。
この小さな変更は、会員に協会が常にサポートし、彼らの貢献を価値あるものと見ていることを感じさせるだろう。

貢献を促す視覚的なリマインダーを設置

協会の施設の入口や共有スペースに、大きな目を含むアートワークなどを設置。
会員が協会への積極的な貢献や参加を思い出すきっかけとなる。
「見ている」ことを意識させることで、会員の自発的な行動を引きだす(かも)。

一歩間違えると「怖い」ナッジになるかもしれないが…。
目って怖いもんね。





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