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協会のナッジ

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ナッジとは、「人間の心理を利用して行動を促す、うまく操る、さりげない仕掛け・優しいテクニック」。これを協会のために使ってみる
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#協会

化石のナッジ

「ナッジ」とは、おおざっぱにいうと、 人間の心理を利用して行動を促すさりげない仕掛け・優しいテクニック を指す。 たとえば… ナッジとは、こういう感じのもの。 無理やり感はない。 ナチュラルに人を動かす。 ▽ 恐竜の化石がよく見つかる国立公園でのお話。 来訪者がよく化石を掘って持ち去るのを止めさせたいと思った管理者は、こんな看板を出した。 「年間で何十トンもの化石が持ち出され、失われています」 どうなっただろうか。 じつは、化石の持ち出しが増えた。 (3倍に増え

見つめるナッジ

「ナッジ」とは、おおざっぱにいうと、 人間の心理を利用して行動を促すさりげない仕掛け・優しいテクニック を指す。 たとえば… ナッジとは、こういう感じのもの。 無理やり感はない。 ナチュラルに人を動かす。 ▽ あるナッジの専門家から聞いた話。 ▽ トイレのフタの裏に大きな目を描くというアイデアは、直接的な指摘や禁止ではなく、利用者に対して心理的なプレッシャーをかけることで行動変容を促す例だ。 大きな目が人間に与える心理的影響は、「監視されている感覚」に根ざしてい

他人が気になるのナッジ

前回のナッジはこれ。 では今回のナッジ。 「ナッジ」とは、人々の行動を操作するさりげない仕掛けのことを指す。 お金で釣ったり罰則で強制したりするのは、ナッジではない。 人々が自由意思で行動した結果、 みたいな状態になるのがナッジだ。 スマートフォンのアプリは、ユーザーがアプリを頻繁に使用するよう、さりげない通知設定を施している。 たとえば、 ソーシャルメディアアプリは新しい「いいね!」やコメントがあるたびに通知を送る。それによりユーザーがアプリを開き、反応するこ

逆心理のナッジ

前回に引き続き、ナッジについて。 (前回) 「ナッジ」とは、おおざっぱにいうと、 「人間の心理を利用して行動を促すさりげない仕掛け・優しいテクニック」 を指す。 強制ではない、さりげなさや優しさがポイントとなる。 イソップ物語の「北風と太陽」でいうと、太陽がポカポカと温めたことにより旅人がみずから上着を脱いだ。 あれがナッジだ。 「ナッジ」にはこういう例もある。 環境問題に取り組むあるNPOが、ロンドンの街からタバコのポイ捨てをなくす工夫として、「吸い殻を入れて投票す

サイコロのナッジ

「今日の夕食は何がいい?」 「何でもいい。美味しいものがいい」 この一見何気ない対話が、実は現代社会が抱える問題を象徴しています。 というのは、 毎日の食事メニューを決める作業は、メッチャ疲れる 家族のために食事を作る方のほぼすべてが、これで疲れている からです。 「何でもいい。美味しいものがいい」と言われ、疲労が悪化します。 インターネットの普及により、私たちは膨大な情報に囲まれて生活しています。 レシピサイトを開けば、数え切れないほどの料理が並び、SNSには魅力

逆効果のナッジ

今回もナッジについて。 前回のナッジはこれでした: では今回の記事に入ります。 フレーミング有名な話だが、医者が患者に手術の説明をするとき、「死亡率10パーセント」というよりも「成功率90パーセント」というほうが、患者を説得しやすいという。 電気の使用量を「環境への貢献度」として提示すると、単に「使用量の削減」と提示するよりも節電につながりやすい。 もし「塩分5割残存」と書いたらその減塩醤油は売れないだろう。実際には「塩分5割カット」と書いてある。 これらは「フレーミン

コーヒーとワインのナッジ

今回もナッジについて。 前回のナッジはこれでした: 今回はコーヒーとワインにまつわる協会ナッジを紹介する。 コーヒー編一般的な傾向として、人はお金のことを考えているときは倫理観が薄まりやすい。 ちょっとダメになるというか。 たとえば…。 この違いに、何か意味はあるだろうか? 研究によれば、毎回コーヒー代を払う職場のほうが、不祥事が起きやすい。 文房具が私物化されたり、ハラスメントが発生する確率が上がる。 これは、 前者のケースでは、従業員がコーヒー代金について意

ベジファーストのナッジ

今回もナッジについて。 前回の復習:モラル・ライセンシング効果「モラル・ライセンシング効果」とは、 「いいこと」を言った後、一時的に「いいこと」を休む そんな傾向のことを指す。 自分が道徳的な行動をしたと感じた後に、その行動に対する自己満足感から、他の不道徳な行動を正当化する そんな傾向だともいえる。 SNSに環境愛あふれるすばらしい投稿をした後で、自宅で食品ロスを出す 道徳的な指導者や活動家が、しばしば言うこととすることが違っている 健康的な食事をした後、一時的に

「言う」人は「しない」のナッジ

今回もナッジについて。 (前回) なぜ医者の不養生が起きるのか?今回のナッジは、「モラル・ライセンシング」。 「いいこと」を言う人は、「いいこと」をしない という法則をご存じだろうか。 「熱帯雨林を救え」というメッセージをSNS投稿すれのは、たしかに「いいこと」。 だが、その後に実際に熱帯雨林の森林伐採を止めにアマゾンに行く人はまずいない。 まあ、「アマゾンに行く」なんて軽々しくできることじゃない。 南半球まで行くには費用もかかるし仕事だってそんなに休めない。 危険

返すもんかのナッジ

今回もナッジについて。 (前回) (前々回) ナッジとは同じ量の料理でも、小皿に盛るほうが、大皿に盛るよりも多く感じる。 多く感じるだけでなく、実際に満腹感も増すらしい。 そのため、食べ放題の店では客に小皿を提供し、何度もおかわりさせて 「たくさん食べた。元が取れた」 と思わせる工夫をしている。 こういうのを「ナッジ」という。 「ナッジ」とは、おおざっぱにいうと、 人間の心理を利用して行動を促すさりげない仕掛け・優しいテクニック を指す。 この大皿・小皿の効果は

カジノのナッジ

今やだれもが知っているであろう有名なハエの話から。 このアイデア自体は半世紀以上前からあったものらしい。 オランダが発祥だという。 古来から、人の行動を変えたいときは、 その重要性を論理的に説明すること 感情に訴えること が法則だと、考えられていた。 しかし、それでうまくいくこともあるが、うまくいかないことも多い。 「洗面所をきれいに使おう」と有名人やインフルエンサーが論理的に、あるいは情感たっぷりに説得しようとしても、政府が印象的な広告を出したとしても、おそらく

「だって」最強説

前回につづき、今回も「ナッジ」について。 (前回) 「ナッジ」とは、おおざっぱにいうと、 「人間の心理を利用して行動を促すさりげない仕掛け・優しいテクニック」 を指す。 禁煙プログラムなどで、「将来の自分に手紙を書く」というワークが行われることがある。 参加者は、「未来の非喫煙者としての自分」に向けて手紙を書く。 これが自分に対するコミットメントとなり、禁煙を心理的に後押しする。 これもナッジの一種だ。 ▽ 今回のテーマは、「ビコーズ(なぜなら)の活用」。 人間は

無駄打ちのナッジ

前回同様、ひきつづき「ナッジ」について。 (前回) 「ナッジ」とは、おおざっぱにいうと、 「人間の心理を利用して行動を促すさりげない仕掛け・優しいテクニック」 を指す。 エレベーターに乗ったらさっそく「閉」ボタンを押して早くドアを閉めようとする人は多い。 アメリカのエレベーターの「閉」ボタンは、その大部分が実際には効かないことを、ご存じだろうか。 「閉」ボタンはある。 だがダミーだ。 かの国の法律で、エレベーターのドアは一定時間、完全に開いた状態でなければならない(

ナッジライフ入門

「ナッジ検定」合格者むけに作成しました。 ナッジの知識をさらに深め、日常生活や仕事で使えるようになるためのガイドブックです。 本書では、「コスパ型ナッジ」「損得勘定型ナッジ」など、様々なナッジの技を紹介しています。 これらを上手に使えば、自分や周りの人の行動を、(あなたにとって)よりよい方向に自然と導くことができるんです。 「ナッジライフ入門」で学んだ知識を活かし、より豊かで効果的なコミュニケーションや意思決定を実現してください。 ナッジは強力なツールですが、使い方を間

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