マガジンのカバー画像

協会の運営方法

46
協会らしい集客の方法、会員コミュニティの扱い方、事務局の育て方など、協会運営にまつわるあれこれを解説。
運営しているクリエイター

記事一覧

ひな形に支配される人たち

前回にひきつづき「ナッジ」について。 「ナッジ」とは、おおざっぱにいうと、 「人間の心理を利用して行動を促すさりげない仕掛け・優しいテクニック」 を指す。 有名な例では、男性用トイレの真ん中の少し下あたりに虫の絵を描いておくと、トイレの清掃費用が8割も削減できた(詳しい理由は想像に任せます)。 これもナッジだ。 看護師の超過勤務を減らすために、 日勤のユニフォームをピンク 夜勤のユニフォームを緑 にしたところ、残業が減った。 残業していると自分だけユニフォームがピン

知っててもはまる「参照点依存性」

前回にひきつづき「ナッジ」について。 ナッジとは、おおざっぱにいうと、 「人間の心理を利用して行動を促すさりげない仕掛け・優しいテクニック」 を指す。 子供が玄関でスニーカーを脱ぎ散らかすのを何とかしたいと思った母親が、玄関にチョークで靴跡を描いたところ、子供は靴跡にスニーカーをあわせて置くようになり、脱ぎ散らかしがなくなった。 これもナッジだ。 ネコを飼っている人のあるあるだが、乾いた丸い洗面器を床に置いておくと、ネコはそこに入る。 これはネコナッジと言えるかもしれな

同調行動を誘発せよ

前回にひきつづき「ナッジ」について。 「ナッジ」とは、人々の行動を操作するさりげない仕掛けのことを指す。 ナッジ:無意識の誘導術お金で釣ったり罰則で強制したりするのは、ナッジではない。 人々が自由意思で行動した結果、 「気がついたら、相手の手の中で踊らされていた。でも、だまされたわけではない。気分よく踊らされたわけだから、ま、それでいっか」 みたいな状態になるのがナッジだ。 優れたマジシャンは相手に自分が意図するカードを引かせることができるというが、あれもナッジの1つ。

ナッジを協会の活動や運営に応用しよう

「ナッジ」という言葉をご存じだろうか。 「ナッジ」とは、おおざっぱにいうと、 人間の心理を利用して行動を促す、さりげない仕掛け・優しいテクニック を指す。 強制ではない、さりげなさや優しさがポイントとなる。 イソップ物語の「北風と太陽」でいうと、太陽がポカポカと温めたことにより旅人がみずから上着を脱いだ。 あれがナッジだ。 身近な例をあげると、 店舗のレジ前に足跡マークがついていると、人々が勝手に並ぶ 階段に「この階段を上るとxxカロリーが消費される」と書いてあると、

人が増えない協会が抱えるある特徴

協会総研は宗教や政治団体とは無縁だが、宗教の仕組みについて考えることで協会の仕組みのヒントになることがあるため、たまに宗教を話題にしている。 今回もその1つだ。 今回は 宗教という組織 プロの集まり この2つを比較してみたい。 世の中にはいろんな宗教がある。 それぞれの宗教は独自の教義や信仰を持つ。 宗教は、人々の心の中に存在する信仰や価値観をを通じてコミュニティを形成する。 社会から好意的に評価されている宗教もあれば、うさん臭いと感じられたり、怪しい、危険と思われ

協会のための「面談の徹底活用」

協会を運営する楽しみはいろいろあるが、うち1つは「会員との交流」だろう。 会員との交流は、協会の成長や方向性をともに考え、実現する手段となる。 それは単なる情報交換以上のものだ。 共通の目的や価値観を共有する仲間との絆を深める機会となる。 他の楽しみ、たとえばイベントの成功や新しいプロジェクトの立ち上げも魅力だが、会員との直接の交流はそれらとは異なる満足感をもたらす。 とくに、面談はおすすめだ。 少なくとも筆者は面談が楽しみで、面談を重視していた。 あらためて書くまでもな

協会のFAQ革命

~「単なる情報提供ページ」から「会員獲得ツール」へ~ コールセンター ウェブサイトのFAQページ この両者には共通点が多い。 情報提供:コールセンターは電話で、FAQページはウェブ上で、疑問や質問に対応する。 サポート:コールセンターは直接対話を通じ、FAQページは書かれた内容を通じ、サポートを行う。 アクセシビリティ:コールセンターは電話一本で、FAQページはインターネット接続さえあれば誰でもアクセスできる。 コスト削減:両者とも効率的なサービスを提供する手段で

カルトと協会

今回はちょっと微妙な話を誤解を恐れずに書く。 勧誘されました昔、地下鉄内で危険なガスをばらまいた宗教団体があった。 その団体が全国的に有名になる少し前、筆者自身がその団体の勧誘を受けたことがある。 古い知り合いから10年ぶりくらいに突然電話がかかってきた。 「ユーに見せたいメチャクチャ素晴らしいものがある、近いうち山梨に遊びに来ないか」 と言われた。 (なんだよユーって…) あとで考えてみれば、その山梨とは、後にその宗教団体の本部があったとされる山梨県のK村のことだったん

囲い込んでどうする

日本の社会やビジネスの世界には、さまざまな形態の協会が存在します。 その多種多様な協会の中で、今回は 「特定のメソッドやノウハウを広めることを主要な目的とした協会」 について。 「陰」の協会と「陽」の協会この種の協会は、その働き方や運営のスタイルによって、大きく二つのタイプに分けることができます。 まず一つ目のタイプとして、「オープンな協会」があります。 自由度が高く、参加者に対して特に制約を設けず、メソッドやノウハウを自由に学び、またそれを他者に教えることを奨励する形態

協会のためのバトル

ビブリオバトルという「読書のバトル」をご存じだろうか。 この興味深いバトルは、参加者がそれぞれお勧めの本を持ち寄り、会場でその本をプレゼンする形で行われる。 各参加者が自分のお勧めの本を持って集まり、その本の内容や魅力を紹介する 会場でその本をプレゼンする際には、なぜその本が素晴らしいのか、どうして他の人々にも読んでほしいのかを語る どの本をもっとも読みたくなったか?を最後に投票で決める。この投票は、プレゼンの内容や本の魅力にもとづいて行われる 最多票を集めた「本」が

愛着を生む「バーベキューアプローチ」

協会を運営している方々、これから協会を設立しようと考えている方々に、ある概念を紹介したい。 「バーベキューアプローチ」というものだ。 バーベキューアプローチとは、活動を大勢で協同して進めるスタイルのこと。 プロジェクトの過程を公開し、仲間と一緒に作っていく。 実際のバーベキューでも、火を起こしたり食材を切ったりと、多くの人と協同作業をおこなう。 そうすると普通の食材でも特別においしく感じ、愛着や連帯感が生まれる。 協会むきのスタイルといえる。 協力者やメンバーを巻き込ん

【悲報】会員は考えない

協会を運営するうえでしばしば直面する問題の1つに、 「どうすれば会員が主体的に活動してくれるか?」 がある。 あなたは会員に一生懸命教えているのに、教えても、背中を押しても、煽っても、会員が思うように活躍してくれない。 活動したいと口では言うのに、いつまでも動かない会員。 そもそも活躍の意志が感じられない会員。 一体どうすれば会員を動かせるのか。 ▽ とある NPO の事例をご紹介したい。 このNPOは、長期入院している子供たちの社会復帰を支援している。 活動の1つに「

心理的に安全な協会設計

「心理的安全性」とは最近「心理的安全性」という言葉をよく耳にするようになった。 心理的安全性とは、 喜怒哀楽を出しても非難されない 失敗を恐れなくていい 周囲の反応を気にせず行動できる 少々のことでは人間関係が悪化しない といった状態や環境を指す。 協会は「人の集まり」。 協会が成功するためには、その会員が安心して自己開示ができ、活動に積極的に参加できることが不可欠だ。 それには 「自分は安全してここにいられる」 と感じる環境、つまり「心理的安全性」が求められる

見えない蓄積:クリティカルマスとゴーイングコンサーンの力

これまであれやこれや努力をしたのにぜんぜん売れなかったのが、ある日突然、なぜだか売れはじめる。 これまで眠っていた何かが目覚めたかのように売れはじめる。 そういう分岐点のことを「クリティカルマス」と呼ぶ。 「クリティカルマス」はビジネス以外でも起こる。 たとえば、これまで懸命に勉強したのに成績が上がらなかったのが、あるときから急に成績が伸びる。 これまで毎日練習してきたのに試合にぜんぜん勝てなかったのが、あるときから急に勝ちはじめる。 なぜそうなるのか、正確な理由は分かっ