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【悲報】会員は考えない

協会を運営するうえでしばしば直面する問題の1つに、
「どうすれば会員が主体的に活動してくれるか?」
がある。

あなたは会員に一生懸命教えているのに、教えても、背中を押しても、煽っても、会員が思うように活躍してくれない。
活動したいと口では言うのに、いつまでも動かない会員。
そもそも活躍の意志が感じられない会員。
一体どうすれば会員を動かせるのか。

とある NPO の事例をご紹介したい。
このNPOは、長期入院している子供たちの社会復帰を支援している。
活動の1つに「ヒーローカード」がある。
「ヒーローカード」は入院中の子供たちに送るカードで、子供たちの心に勇気と希望をもたらす大切なもの。
「ヒーローカード」を書くのが会員の役割なのだが、この NPO はここで悩んでいた。
会員が、なかなか「ヒーローカード」を書いてくれない問題だ。

どの会員も入院中の子供たちを応援したいから会員になったはずなのに、いざカードを書くとなると、みんなやってくれない。
NPO の主旨に賛同して会員になってくれるけれども、「ヒーローカード」は書かない。
「ヒーローカード」を書いてくれる人は全会員のなかの2割もいなかった。

しかたがないので、NPO の中心メンバーが懸命に「ヒーローカード」を書いていた。
これでは何のために NPO を作ったのかわからない。
会員なんかいらないじゃないか、ということになりかねなかった。

「ヒーローカード」を書く会員を増やすため、NPO は3つの施策を試してみた。

  • 1つは、子供たちがどれほどカードを必要としているかを会員に伝えること。

  • 1つはカードを書いてくれた会員に謝礼を支払うというもの。

  • 最後の1つは「ひな形」の提供だった。

結果、どうなったかというと…。

はじめの2つは、ほどんど効果がなかった。
謝礼も、効き目がなかった。

ところが、最後の1つである「ひな形」を提供したことで、カードを書く人の割合が急増し、8割に達した。
「ヒーローカード」を書くのが難しいと感じていた人々が、「ひな形」のおかげで書きやすくなったのが理由だという。

つまり、会員の行動を阻んでいたのは、
「何を書いたらいいのか」
「どのような言葉を選べばいいのか」
そこがわからないという点だった。

NPO を運営する側の人たちは、驚いた。

「何を書いたらいいのか」「どのような言葉を選べばいいのか」だって?
なんだそれは。
そんなの、ちゃんと考えればいろいろ 浮かぶだろう。
いちいち「ひな形」を作って手取り足とり教えなくてはいけないの?
指示待ち世代じゃあるまいし。
自分で考えられないのか?

…と最初は思った。

だが実際のところ、自分で考える会員はきわめて少ない。
おそらくあなたの協会の会員さんたちも、自分で考えようとはなかなかしないはずだ。

そこで「ひな形」の登場となる。
「ひな形」を使うというアイデアは、協会運営にも活かすことができる。
たとえば会員が活動に参加しやすいように、具体的な行動リストや行動マニュアル、フォーマットのようなものを渡す。
「何をすれば良いかわからない」という人たちに「こうすればいいんだよ」と教えるツールが「ひな形」となる。



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