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「〈生〉の分析」とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』


「〈生〉の分析」 【せいのぶんせき】

 「ここで第二のアプローチである「〈生〉の分析」が必要となる。このアプローチでは、人間をその存在がこの世界で実現する〈生〉、言い換えれば“生きる”という具体的な活動のなかから理解しようと試みる。それは人間存在を“内部”の目線から認識すること、人間という主体の側に立ち、生身の生活者として人間を認識していくことを意味するだろう。ここから浮かびあがってくるのは、はるか古の時代から集団として世界と向き合い、次世代へと〈生〉をつないできたわれわれの姿である」

上巻 9-10

 本書が、人間存在の本質とは何かを明らかにするために用いている、三つのアプローチのうちの一つ。とりわけ、われわれが“生きる”と表現している営為について、等身大の〈生活世界〉から、生活を実践する主体、〈生活者〉としての人間の目線から分析を試みる点に特徴がある。

 三つのアプローチには他に、人間存在を、その存在を取り囲む〈環境〉との関係性において理解する「環境哲学」と、その存在を“自己”と“他者”が織りなす〈関係性〉の構造のなかから理解しようする「〈関係性〉の分析」がある。

上柿崇英『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版、2021年)

 このページでは、筆者が2021年に刊行した『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版)に登場する用語(キーワード)についての概略、および他の用語との関係について説明したウェブ版の用語集のnote版です。

 (現在リンク先は、すべてウェブ版を借用していますが、徐々にnote版に切り替えていく予定です。

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