見出し画像

廃屋

締め切った窓に沈み込む
暮らしを忘れた夕暮れに
草木や花が揺れるのは
終わらぬ孤独の戯れか

繋がる過去と分離した
未来は今に荒れ果てる
鳥が無言で虫を喰み
黙って見送る仲間達

遠く街行く喧騒も
此処では遙か異世界で
蜜を探して飛んでいた
モンシロチョウは妖か

夜の帳が降りる頃
存在だけが抜け落ちて
何かを語り始めると
取り憑かれた様に立ち尽くす

この記事が参加している募集

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール