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黒い骨

白濁の
雲がこぼした
月明かり
いくつも影が
落ちてくる
だから月なぞ
見やしない
黙った空の
袂には
太さも形も
まちまちの
切り絵みたいな
黒い骨
追えないくらいの
スピードを
その身の裏に
閉じ込めて
毎夜私を眺めては
気付けばとうに
顔馴染み
とはいえそこに
慰みの
ひとつもあろうはずもなし
とはいえそこに
裏切りの
ひとつもあろうはずもなし
毎夜私を眺めては
どうぞそのまま
黒い骨
毎夜私と会いましょう

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