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浮遊

一時停止の丁字路に
ポカリと月が膨らんで
寝ぼけたような鈍い色
滲んだ光の幻が
空気にぶつかり歩き出す
地上のしがらみ吸い上げて
落として遊ぶ純粋さ
誰もあいつを止められず
眺める事しか出来ないが
受け入れられない無邪気さを
否定しようと目を逸らし
その存在を忘却の
この世の果てに追いやれば
喪失感の埋め合わせ
コンビニ立ち寄り無駄遣い
思考は思考を押しのける
だからいつでも忘れてる
思い出すのが怖いくらい
不安が電波に拾われて
不意に脳裏が受信する
不便な身体に愚痴こぼし
新たな刺激の追憶を
夜通し背を向け追いかける
疲れてしまえば寝れるから
眠れぬ疲労が茶を濁す
白目の裏側充血し
指先だけの関わりに
虚しさくらいは満たせるか
凝りをほぐして首曲げて
上を向いたら月が居た

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