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スカーレット 緋色に染まった薄羽織 空の青さに切り取られ 結ばぬ髪は風を待つ 黒い瞳の語ら…
おやすみなさいも言わないで 気付けば朝になっていて こぼれたワインの赤い染み 寝ぼけた記憶…
雪を浮かべた冬景色 色もサイズもちぐはぐな お下がりジャージの上と下 雪は降らずに舞いなが…
重なり続ける人生は 何度も何度も繰り返し 古びたフィルムを映写する 消える事なき背中越し 輝…
季節を綴じたクロゼット 去年の上着を取り出して 思い出挟んだ栞には 毛玉がひとつ転がった …
低空飛行の太陽は 師走の午後に急かされて 顔を埋める杉林 温もりばかりを求めては 隣の山に…
中指先っちょ傾いた 関節辺りに居座って 無言で忍ばす自己主張 仕事を手伝う片手間に 捲る言葉を追いかけて ペンを走らせご満悦 どうせ明日には色褪せて 腑抜けた文句になるにせよ 今を生きてりゃそれで良し 本音を紛らす常套句 日暮れの空には大会合 眺める気持ちも見付からず 微かな期待も疼痛も ベクトルプロット刻むだけ 一途になりたいニヒリスト
カウンターにはちらほらと 今も昔もディスタンス 居並ぶ昭和の郷愁も 生まれは意外に平成だ …
十年生きたわけじゃない そんな子供も語り出す 大人に聞いた物語 地面がドカンと揺さぶられ 海…
なんて事ない塵屑が 末期に放つ美しさ 毎年決まってやって来る こちらの都合は構い無く 空の…