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壱貫亨司詩作集め
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2022年4月の記事一覧

漂泊の椅子

コケモモの葉が重なって 互いの指先比べたら その空白を埋めるため 白いお花の玉っころ 新たな…

壱貫亨治
2年前
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行列

スギノコ隠れた土の中 雨が降ったら足伸ばし 晴れてきたなら手を伸ばす ミミズの通路はリフォ…

壱貫亨治
2年前
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明日は晴れるよ

長い雨だったね 途中で傘を失くしちゃったり すれ違う車に泥をかけられたり 湿った心根にカビ…

壱貫亨治
2年前
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春のイナヅマ

未明に広げた雨雲は 天気予報を聞きながら 俺らの事も知りもせず 勝手な御託を並べるな 言わん…

壱貫亨治
2年前
48

春にもたれて

春にもたれて 君は今頃どこにいる アドレス帳には番号も 名前も顔も見当たらず わかっていても…

壱貫亨治
2年前
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机上の人

夢見がち ぽっぽぽっぽ 机の上 溢れ出す かんりかんり インクの線 どこまでも たったたった …

壱貫亨治
2年前
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暇な店

朝から仕込みに精を出し 仕入れは未だにファックスで 流れるラジオと水の音 開店時間を過ぎようが 特段忙しい事も無い 電気ポットの顔叩き 粉末緑茶のマグカップ ようやく沸いた湯を注ぐ お隣さんの挨拶に 壁を挟んで返答し 世間話もしないから だいたい黙ってお茶を飲む 外が見えない空間に 閉じ込められたい訳もなく 天気と空のご機嫌を モップの乾きで予測して 答え合わせの理由付け 買い物無いかと探し出す 暇な店でも開けてれば ちらほら尋ねる人もいる 店が終わると夜だから も少し暇でも

名前を呼んで

あなたの名前を呼びました あなたの返事を聴きたくて あれから何遍呼べたかな あれから何遍聴…

壱貫亨治
2年前
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雑草談義

何も無いのに生えてくる 抜いても抜いても懲りもせず 春のうららに気を抜いて 昼寝の合間も伸…

壱貫亨治
2年前
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雨桜

桜並木 横断歩道は ずいぶん先だから 車道を横切ろう 右や左に首振って そそくさ歩く 事もせず…

壱貫亨治
2年前
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虫刺され

からりと注ぐ紫外線 ウグイス鳴いたら梅が散る 春の便りを読み漁り 川辺の花見も鍋敷きも 今は…

壱貫亨治
2年前
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雨カイト

太陽も知らず 気持ちがあればいいって 無闇やたらな笑顔とハイテンション そよ風も待てず 優…

壱貫亨治
2年前
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桜咲く頃

景色は今を生きている それが記憶を呼び覚ます どんなに今を見つめても 切り抜き捨ててきた物…

壱貫亨治
2年前
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春だなぁと言った頃にはもう遅い

したたか雨の後 ぬめっとしながら 心地も良い ぬるま湯みたいな 風がゆるりゆるりと 深呼吸の中空 まるで怖がりもせず 時折落下してさ 途端に膨らみ 山の上にて生き変わる 闇夜は顔を隠し 心の陰を鮮やかに 理解し難い事でさえ 分かったつもりにさせて 唯一無二のセリフ 酔いしれて束の間 消えないならば褪せていく だから消して消して 書き殴るように 掻き消して 終わりたくないから 次々と終わらせて それでも何処かで 残してやりたいと 請うように絡んだ 睫毛と眼差しは 純粋なる下僕