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虫刺され

からりと注ぐ紫外線
ウグイス鳴いたら梅が散る
春の便りを読み漁り
川辺の花見も鍋敷きも
今は昔と袖まくる

日陰にヒンヤリ腰掛けて
古びた水路に閉じこもる
苔が伸ばした足先の
枯葉で区切った密室を
サンショウウオがノックする

無常の永久連綿と
どっこい生きたり死んでたり
清かな光はちらちらと
睦んで結んで広がって
何でも良いよと置き手紙

ため息付いても心地良い
そんな日和もあるもので
今日の全てに頷いた
去年の暮れに植えた花
虫に喰われた左腕

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール