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桜咲く頃

景色は今を生きている
それが記憶を呼び覚ます
どんなに今を見つめても
切り抜き捨ててきた物が
本当に消え去る訳もなく
かざした今に浮き上がる
影絵の隙間に憩う風
知ってか知らでか見兼ねてか
桜ひとひら舞い落ちて
何処から来たかも語らずに
何処に行くかも伝えずに
過ぎ去る今に張り付いて
私の額と背中越し
告げぬ別れのせせらぎと
抱き合うように去り行けば
いつか会えると桜咲く頃
伝えたかった桜咲く頃

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール