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壱貫亨司詩作集め
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2022年6月の記事一覧

走行距離

十万キロ 走った分だけ 辿り着いた それぞれの目的地 迷子になったって 道が無くったって 事…

壱貫亨治
2年前
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給料日

今日はようやく給料日 ひもじいおいらにゃありがてぇ ついつい気持ちも膨らんで その分ヨダレ…

壱貫亨治
2年前
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落ちた羽

僕は何故だか よく羽を拾う 黒い羽だから おそらくは カラスの羽だろうか だからといって いつ…

壱貫亨治
2年前
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蝶の染み

頭が痛い 割れそうだ 暑さのせいか 壁には 蝶の染み 目を閉じる 耳を塞ぐ 口を開ける 床には …

壱貫亨治
2年前
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餌やり

空っぽを 千切って広場に ばら撒いて カラスが突っつき 喰らうのを待つ 苛立ちを 細かく砕い…

壱貫亨治
2年前
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アジト

令和元年某日未明決行 邪魔する者は速やかに排除 如何なる関係性においても その例外は認める…

壱貫亨治
2年前
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夕焼け小焼けで鯛焼き君

日が沈んだかどうかの頃合い 駅前通りのビルの隙間 茜色に染め上げられた雲が 曇天の片隅を切り取り 申し訳程度に棚引いていた 夕焼け空なら明日は晴れぞ 昔々の言葉が脳裏を過ぎる スマホアプリの予報には ずらりと雲と雨傘のアイコン もうどっちも信じやしない どっちが変わっちまったなんて 考えたところで疑心暗鬼に明け暮れる 取り止めもなく踵を返し ちっぽけな鯛焼き屋を覗いた ここ何十年と変わるわけもなく ひたすら焼かれる鯛焼きが 今日はもう終わりだと言って フードパッ

待てど暮らせど

雨に濡れた並木道 レインコートの自転車が 車輪を鳴らして横滑り 止まない雨の強弱に 濡れず…

壱貫亨治
2年前
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バレリーナ

お前の踊りは白い赤 可憐で小さな装いで 触れたらきっと千切れちゃう お前の斜めの後ろ側 種…

壱貫亨治
2年前
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刀削言

鍛えた刀は持ってない 身分も才も無いからな 悔しいけれどボヤくのは 埋まらぬ溝に滑り落ち も…

壱貫亨治
2年前
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休日ランチ

雨が降っているみたいだけど 今日は休日なんだから 二度寝で寝坊の確信犯 付けっ放しのラジオ…

壱貫亨治
2年前
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プアボーイ

貧乏長屋の砂利道で 体の小さな少年は 貧乏仲間の子供らと 棒やら石やら見つけては 投げたり蹴…

壱貫亨治
2年前
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採掘作業

ジャシュッ ジャシュッ ジャシュッ したたる汗 拭うことも 時間の無駄 見つけるぞ 掘り当てろ …

壱貫亨治
2年前
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