コンピテンシーを評価する「パフォーマンス評価」

コンテンツ・ベースからコンピテンシー・ベースへの転換の一番のボトルネックは、コンピテンシーの評価だと考えています。

より質の高いコンピテンシーを世の中が求めているとしましょう。でも、その高い質というのはどうやって測るのでしょうか。

例えば、社会人にとっては「粘り強さ」はとても必要な資質・能力です。ぜひ身につけてほしいコンピテンシーです。では、高い「粘り強さ」を身につけるためには何をすればよいのでしょうか。そして、高い「粘り強さ」が身についたかどうかをどうやって測ればよいのでしょうか。

知識が身についているかどうかを測るのであれば、それはペーパーテストでも可能です。江戸幕府を開いたのは誰ですか?という問題であれば、徳川家康という答えが決まっています。そして、それをペーパー上の文字で確認することが可能です。織田信長と書いたら間違えで0点です。正誤が明確になります。
しかし、「粘り強さ」が身についているかどうかをペーパーテストで測ることは難しいです。

コンピテンシーは、その能力を発揮しないと身についているかどうかはわかりません。というか、発揮しないで持っている能力なんて役に立たないので、発揮することが大切なのです。発揮してはじめてコンピテンシーと言えるのです。

つまり、コンピテンシーを測定するには、それを発揮するシチュエーションがないといけないのです。そして、そのシチュエーションを何度も経験することでコンピテンシーを発揮する努力をして身についていくのです。

授業の中でコンピテンシーを身につけるためには、そのコンピテンシーを発揮するシチュエーション(場面)が必要です。そして、その場面でそのコンピテンシーを発揮できたかどうかで身についているかどうかを測定し評価するのです。
この場面のことをパフォーマンス課題といいます。パフォーマンス課題とは、「授業等において、様々なコンピテンシー(資質・能力)を発揮して取り組むような総合的な課題のこと」です。

そして、その取り組みの中で発揮されたコンピテンシーを見取ることをパフォーマンス評価といいます。
パフォーマンス評価は、「知識(コンテンツ)をいかに身につけているか」を測るのではなく、「資質・能力(コンピテンシー)をいかに発揮したか」を測る評価方法です。コンテンツ・ベースの授業からコンピテンシー・ベースの授業への転換が求めらる中でとても重要な評価方法として注目されています。

コンピテンシーの評価の救世主は、このパフォーマンス評価です。次回はパフォーマンス評価の具体的事例をご紹介しましょう。

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