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教科のコンピテンシーと教科ルーブリック

前回は学力の氷山モデルを使って、コンピテンシーには二種類あるということを説明しました。それは、汎用的なコンピテンシーと教科のコンピテンシーです。
今日は、教科のコンピテンシーについて詳しく話をしましょう。

教科のコンピテンシーは、教科等の本質に関わる教科等ならではの見方・考え方などのことです。見方・考え方はコンピテンシーではないという意見もあると思いますが、コンピテンシーは「知識や技能を活用するための資質・能力」ですから、私は、まさにこれこそコンピテンシーだと考えています。

この教科のコンピテンシーを目標として設定し、評価できるようにするのが「教科ルーブリック」です。教科ルーブリックの説明をすることで教科のコンピテンシーへの理解を深めていただこうと思います。

教科ルーブリックは、教科ごとに作成します。つまり、国語科のルーブリック、数学科のルーブリック、・・・というかたちで、教科の数だけルーブリック表があると思ってください。もちろん、保健体育科や家庭科なども必要です。理科を物化生地で分けるか、芸術科を美術と音楽で分けるか、地理歴史科と公民科を一緒にするかなどは、各校で決めていただいてよいと思います。お勧めとしては、その学校の教科の組織(教科会)の単位ぐらいでよいのではないかと思います。

総合学園では、小学校、中学校、高校などが併設されていると思いますが、校種別に教科ルーブリックを作るのが基本です。つまり、小学校のルーブリック、中学校のルーブリック、高校のルーブリックを別々に作成します。ただし、中高一貫校の場合は、中高で一つのルーブリックでもよいと思います。

教科ルーブリックの評価項目(評価規準)は、各教科に4~5項目ぐらいがよいでしょう。基準の段階は4~6段階が適切です。あまり項目や段階が多いと細かくなり過ぎますが、少なくても大雑把になってしまいます。

教科ルーブリックの形式について長々と話してしまいましたが、ここからが中身の話です。
教科ごとにその教科の本質や本当に身につけてほしいこと、教科ならではの見方・考え方などを4~5項目程度抽出します。
例えば、ある私立中高一貫校の国語科のルーブリックでは、「問いを立てる力」「文脈に沿って読む力」「判断する力」「想像する力」「表現する力」の5つを項目として設定しています。
この学校では、研修会などを通じて教科の先生方が集まり議論してこの項目を決めました。

中学校国語科の学習指導要領解説には、国語科の見方・考え方として、「言葉による見方・考え方を働かせるとは、生徒が学習の中で、対象と言葉、言葉と言葉との関係を、言葉の意味、働き、使い方等に着目して捉えたり問い直したりして、言葉への自覚を高めること」と書いてあります。この内容を参考にしてもよいでしょう。各校で大切にしている本質的に児童生徒に伝えたいことを項目化することが大切です。

各教科の授業では、教科固有の知識や技能を教えることも大切ですが、以上のような教科の本質を踏まえた教科のコンピテンシーを身につけてもらうことがより大切になると思います。
それを意識するためにも、教科で共通の大事なコンピテンシーを教科ルーブリックとして明文化しておくのがよいのではないでしょうか。

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