『医龍』に学ぶ教師論①
これから、漫画『医龍』の台詞をもとに教師としてのあるべき姿を考える連載を始めます。
漫画『医龍』は、天才外科医の朝田龍太郎が、大学病院の抱える矛盾と対峙する医療現場の姿を描いた作品です。
坂口憲二さん主演でTVドラマ化されたので、ドラマ版でご存知の方も多いかもしれません。
私は、TVドラマで知ってから興味を持ち、漫画の原作を読んだのですが、『医龍』には、教師論として生かすことのできるエッセンスがたくさん含まれています。
そういうわけで、今回からは、「『医龍』に学ぶ教師論」と題した記事を、連載という形で紹介していこうと思います。
今回紹介するのは、『医龍』に登場するこの台詞です。
「手術は成功した。ーーしかし、患者は死亡した。」
これは、漫画『医龍』の第一巻で、患者に規定の処置を行ったのに患者が死んでしまったということを表す言葉として登場する台詞です。
この言葉が含意しているのは、医療においては、規定の処置を行うことが求められるけれども、本来的には、患者を救うことが目指されるべきであるということです。
『医龍』では、助手の木原毅彦がこの言葉を発して、患者の命を諦めようとしたときに、朝田龍太郎が天才的な手腕で患者を救い、次の言葉を言い放ちます。
「死なせていい患者なんて、いねーんだよっ!!」
朝田は、医療の目的は患者を救うことであって、手術においては、ただ規定の処置を正しく行えば良いというわけではないということを言っているのです。
これは、次のように言えば、学校の教師においても、同じことが言えるのではないでしょうか。
「授業は成功した。ーーしかし、学びはなかった。」
たとえ、きれいに整えられた指導案を作り、その指導案通りの授業をしたとしても、そこに子どもの学びがなければ、授業の目的を果たしたことにはならないはずです。
学校の中で、そのような授業研究をしてしまっていることはないでしょうか。
授業の目的は、子どもがその授業の中で意味のある学びをすることであって、ただ教師が決めた筋道通りに授業を行えば良いわけではないはずです。
今回の記事では、『医龍』の「手術は成功した。ーーしかし、患者は死亡した。」という台詞をもとに、教師論を考えました。
いかがだったでしょうか。
それでは、次回も、お楽しみに。