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令和の始まった1日

令和が始まった刹那、最初の私の行動はキーボードのF5を押すことだった。

草サッカーのグラウンドの先着予約は毎月1日午前0時0分。新しい時代も平和であってほしい。そんな願いが頭をよぎる間も無く、草サッカーグラウンドの予約サイトをリロードし、令和元年6月の希望日時を予約せんとするが、瞬時で予約は埋まり、敗れ去る。ふて寝する。

目覚めると午前8時半であった。用意された朝食を食べる。歯磨きをする。そして掃除に取り掛かる。何もない10連休は家の中を徹底的に掃除しようと心に決めている。思考が柔軟であるがゆえに、決意もまた簡単に揺らぐ。やり始めると面倒になり中途半端に掃除機をかけるだけとなる。

今日もまた中途半端に終わった。Wi-Fiルーター周りの埃を払おうとすると、ルーター本体がベタベタしていた。どうもルーターの周りをコーティングしてある樹脂が劣化したようだった。出来ることならば、これを機会にメッシュWi-Fiを導入したいところだが、そんな予算申請は却下されるに決まっている。仕方ないので、掃除機を脇に置き、エタノールにて樹脂を取り払わんと欲す。

キッチンペーパーに消毒用アルコールを浸し、それをペタッとWi-Fiルーターに貼り付け、ラップをかけて10分放置する。その後、そのキッチンペーパーで磨きに磨く。定規で削り取る。数十分悪戦苦闘しながらもこの作業を続けると、ベタベタした樹脂はなんとか取り払うことができた。

その後、この方法が正しかった検索してみると、サポートに電話すると交換品を送ってくれるというブログを発見し、無駄な作業に時間を費やしてしまったことを思い知る。

午後、駅前の映画館に子供達を連れて行く。『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜」だ。次男は映画館デビューである。次男とは同じ年中であるが、比較するとずいぶんクレヨンしんちゃんの登場人物はしっかりしている。

私は子供たちに足臭と罵られているが、実際の足の臭いより多分ずいぶん誇張されるのは、野原ひろしのせいであるとしたいが、現実は野原ひろし以上かもしれない。子供たちには視覚聴覚だけでなく、嗅覚でも映画を堪能してもらおうと、映画が始まると靴を脱ぐ。来年は私の好きなぶりぶりざえもんが銀幕に帰ってくると言っていたので、令和2年もクレヨンしんちゃんの映画を観に行くことになりそうだ。

家の駐車場に車を止め、玄関に入ろうとすると頭の上に何かが木から落ちてきた。黒い毛虫だった。足元には黒い毛虫が散乱していた。明日は令和元年5月2日の血の木曜日事件として、毛虫史に刻みつけてやろうと決意する。

近所の地方競馬場が本開催ということで、馬券の買い方も分からないが、美味しそうなB級グルメとビールを求めてふらふら向かう。生ビールと美味しそうなつぶ貝串だけ買い求め、家に帰る。

階段下の薄暗い書斎にて自分の時間を過ごそう。パソコンでDAZNを開き、阪神対広島を見る。ビールとつぶ貝とプロ野球。理想的な過ごし方だ。つぶ貝を口にする。恐ろしく薄味で、支払った600円を思い、涙ぐむ。小学生の頃からファンである広島カープはリードをしていたものの、1アウト2・3塁とピンチを迎えていた。ピッチャーは野村だからきっと大丈夫だと祈っていると、2点タイムリーを喫し、逆転を許す。そして、そのまま試合は完全に阪神ペースとなってしまった。

この腹いせはどうしようか。風呂場へ行き、カビキラーをばら撒き、塩素から発するガスに気を失いかけつつも黒カビとヌメリを徹底的に除去してやる。

令和の時代。私はそんなに変われないだろう。

サポートしてもらって飲む酒は美味いか。美味いです。