バックオフィス系SaaSで業務フローをスマートにした話(其の二)

はじめに

 さて、年明けに啖呵だけ切って延々サボっておりましたが、やっとペンを持つ気になりました!バックオフィスSaaSの導入例の第1弾は「バクラク」シリーズの各サービスです。

具体的には、各シリーズの中から

  • バクラク申請・経費精算

  • バクラク請求書

  • バクラクビジネスカード

の3点セットで使用しています(電子帳簿保存法対応オプションもつけています)。ビジネスカードは後発のサービスでしたので、導入検討段階では前二者を念頭にしていました。

導入の意思決定まで

 もともと、前任者からバックオフィス業務を引き継ぐにあたり、請求書の処理フローをシステマチックでよりSecureなものにしたいというのが出発点でした。課題意識としては以下のとおり。

  1. 請求書は社内の共有ドライブに保管されているが、ファイル名の命名規則がなく、検索性がない。支払いが完了しているかのステータス管理もできず、支払い漏れなどのエラーリスクがある。

  2. 振込指図用のcsvをスプレッドシートベースで作っていて、金額や宛名の入力など手作業部分のエラーリスクがある。

  3. 支払いの承認のためのワークフローシステムはない。Slack上で決裁者に直接依頼をし、その確認をもって承認としている。

 特に1点目について、請求書の受取は、経理担当者が直接ということもあれば、講師の方と接点のある編集部担当者であることもあり、受け取り方もメール、紙などバラバラで、一元管理が難しく、所定の期日に支払いが漏れるといったエラーのリスクがある状況でした。
 請求書処理の電子化を謳うサービスは世の中にいくつもありましたが、バクラク(導入当時は「Layer X」の名称をまだ使われていました)固有のポイントであり導入に踏み切る最大の理由になったのは「ワークフローシステムとの連携」です。先に上げた課題点①②に対しては、請求書処理の電子化サービスはだいたいどれも解決してくれると思うのですが、③はバクラクの強みだと認識しています。

仕様などの詳細

 ワークフローとの連動の部分を詳しく書くと、請求書処理のシステム本体は「バクラク請求書」なのですが、請求書処理のフローは「バクラク申請」ではじまり、常にそことバクラク請求書が連動しているのです。具体的には、

  • バクラク申請に、1)取引先から請求書PDFをメール添付してもらったものを取り込む機能、2)取引先に請求書をアップロードしてもらうフォームがある。

  • そこを起点に「支払申請」が起案できる。支払申請の起案と同時に、バクラク請求書側でもレコードが作成される。

  • 「支払申請」は送金指図に対する承認フロー。そのステータスはバクラク請求書にリアルタイムに反映される。バクラク請求書側で送金指図を作成(総合振込のためのcsvエクスポート)するときに、社内承認を経ているかが一発でわかる。

という一連の流れになっています。バクラク請求書側は経理だけが触り、経理以外の、取引先とのコミュニケーションをするフロント側のメンバーは,
バクラク申請だけを必要に応じて触るようなイメージになります。
 この大切さ(ありがたみ?)は、ぱっと見てピンときづらいかもしれないのですが、適切なワークフロー、社内ガバナンスのためには、支払いに対する承認と、実際の支払いの業務がこれだけスムーズに連動してくれるのはめちゃくちゃありがたいと思っています。総合振込の中に、気づいたら変な支払いが紛れている、みたいなことを防ぐことができます。
 従って、弊社ではバクラク請求書に請求書を直接取り込むことはしておらず、100%バクラク申請の支払申請を起点とした運用にしています。

 その他、ポイントごとの羅列になりますが、以下のようなバクラクシリーズの仕様により、業務フローの質・スピードを高めることができました。また、後から何かで確認したいと思ったときの検索性の向上も、過去とは段違いです!
 (申)はバクラク申請の機能、(請)はバクラク請求書の機能を意味する記号です。

  • (申)受取専用のメールアドレスを送信先に含めて請求書PDFを送ってもらえれば、支払申請の起案に連動する。

    • ただし、zipファイルになっていたり、メール内のリンクからDLするような場合は直接取り込みはできない

  • (申)(請)請求書内容をOCRが読み込んで支払先の情報などを自動で推奨してくれる。かなり正確!

  • (申)支払い方法をプルダウン選択できて、送金指図をしない支払(口座振替など)も支払申請フローの中で処理できる。

  • (請)仕訳を入れることができて、会計ソフト(弊社ではマネーフォワードクラウド会計)に仕訳帳インポートができる。そのために勘定科目を会計ソフトからインポートできる。

  • (請)取引先ごとに、毎月/決まった月に請求書受取があるところを設定でき、支払申請が起案されていない取引先をチェックできる「受取状況レポート」機能。

  • (請)取引先ごとのある期間での支払額の集計ができる「支払金額レポート」機能。共有ドライブ時代はこの時系列での串刺し処理ができなかったので、取引状況の確認には実にありがたい。

 ここでは、私が印象的だと思ったポイントを羅列しているに過ぎないので、そもそもの機能も含めて全容を知りたい方は公式の方でぜひ。デモンストレーションの期間も設けてもらえると思います!(回し者みたいになってきた…笑

汎用ワークフローシステムとしてのバクラク申請

 ここまで、支払い処理周りに論点を絞った内容でしたが、バクラク申請は支払申請以外のさまざまな申請フローを扱え、ワークフローシステムとしての汎用性が高いです!WFごとに、記載内容や承認経路を細かく設定することができるため、細かいカスタマイズをしながら、社内のあらゆるWFをここに集約するようにしています。具体的には、以下のようなWFを設定して運用しています。

  • 購買申請・・・物品の購買の他、会社経費の発生に関することすべて

  • 出張申請

  • 契約書の締結申請

  • 契約書のないSaaS等の利用の申請

  • 押印申請

  • 立替経費申請・・・支払申請の一種ですが、バクラク請求書の一部機能であるバクラク立替経費と連動しています。

 ここに挙げていないものもありますが、あらゆるWFを搭載することができます。唯一の例外は人事系で、身上届や入退社手続き周りは、Smart HRにもともとその機能があるのでそちらに委ねています。ただし、採用に伴う雇用契約の締結、業務委託契約の締結については、上記の契約書の締結申請を行うこととしています。
 そしてもう1点特筆すべきは、購買申請や出張申請など、その後にお金の出が伴う案件の場合、会社として払えば支払申請、従業員が立て替えて払えば立替経費申請が続くことになります。それらの申請の起案時、関連する申請としてもとの購買申請や出張申請を紐付けることができるので、正規のフローで社内承認を経た費用の執行であるかどうかや、予算/承認額をオーバーしていないかという管理もサクッとできるのです。前職でこの辺の管理のために自前のシステムを開発屋さんにこさえてもらった経験があったので、こんなにライトにできるなんて!と感動を覚えるポイントでした。

運用における課題

 ここまで書いてきたように、かなり使い勝手もよく、また開発のスピードも早いのでいろいろと改善に向けた動きも見て取れる印象なので、かなり便利に「バクラク」シリーズを使わせてもらっています。対社内の課題感も含め、バクラクまわりの運用の課題を記しておくと、以下のようになるかと思います。これは、この記事を書いている2023年3月時点での情報のため、今後の改修や改善によってクリアになっていくことでしょうが、アップデートはしないでおきます。

  • レガシーな企業で働いたバックグラウンドを持つメンバーがほとんどいないので、「稟議」というものへの慣れがなく、WFを起案するときにどういうことを書いておけばいいのかが分からない。WFシステムは、そのときに上長のOKをもらうということももちろんですが、証跡化の意味合いが強く、後からどういう意思決定をしたかの記録を遡りたいときの材料になるため、必要な情報を記載する必要があります。ただ、WFを進めている実際のタイミングでは、打合せやSlack上などで案件の前提情報をやりとりしているので、WF作成時にそのあたりの情報の記載が疎かになりがち。もちろん、社内コミュニケーションのベースであるSlackに書かれていさえすれば、後から振り返るという目的は達成されるのですが、要旨をWFの中にも記載しておくことは重要なので、ここを社内で理解を得、要領を掴んでもらうことは一定の研修と慣れを要します。

  • 「購買申請」と「支払申請」の意味合いを正確に理解してもらう。実施の承認と、その後のお金の払い、という違いが根本的にあるのですが、この区別も社内でしっかり分かってもらう必要があります。請求書が出てきた段階ではじめてWFが発生して、「あれ、それそもそもやるっていうことを承認してないよね?」となることがあり得ます。事前承認していない費用について支払うことは、ガバナンス上も余程のことがない限りNGとしていますので、ここは悲劇を生まないためにも丁寧な説明が必要です。

  • WFの段階は基本的に「承認」という扱いのみなので、「最終決裁者による承認とその前段での承認を意味づけしたい」「最終決裁者の承認のあと、「確認」「回覧」のようなステップを設けたい」というようなケースには100%対応できてはいません。そのため、最終決裁者の決裁は済んでいるのに、回覧者が「承認」(本当の意味は「承認」ではないんだけど)を押していないと、申請者からはまだその案件が承認になっていないようにパッ見は見えてしまう、ということが起こります。中を見て、最終決裁者の承認が済んでいれば、回覧フェーズの人が押していなくても買ったり実行したりしていいよ、というのは説明はするのですが、WFに慣れていない従業員には直観的に分かりづらいポイントです。

 だいたいこんなところかと思いますが、ほとんど社内の課題であり、かつ日常業務でWFを起案することがほとんどないメンバーが大半なので、なかなかみんなの理解度を上げるというのが難しい(し、都度コメント・指摘すれば済む程度)という状況です。もっと人数が増えてきたときには、オンボーディングプログラムの中でもこのあたりの重要度を上げていく必要があるのかなとは思っています。

バクラクビジネスカードについて

 と、ここまで実はビジネスカードについてほとんど触れてきませんでした。弊社ではコーポレートカードのメインはUPSIDERを使っており、それはまた別の記事にまとめさせていただくのですが、現状、バクラクビジネスカードをあまり活用することができていません。その唯一にして最大の理由は、与信枠の小ささ。。。UPSIDERとしくみは一緒で、Moneytreeによる銀行残高連携なのですが、そこは両者の懐具合の違いなのか、なかなかバクラクさんからはしっかり使えるだけの枠をいただけておりません。。。ここは今後の改善に期待したいところです。
 ということで、大変申し訳ないですが、ビジネスカードは未来に期待!しながらここでの詳述はありません。

おわりに

 バックオフィス業務を革命的にラクに、早く、確実にしてくれたと言っても過言ではないバクラク!完全にミコリーの屋台骨として欠かせないSaaSになっております。電帳法オプションの対応などタイムリーな開発の動きも早く、(コーポカードの与信枠問題以外は)真摯に頑張ってくださっている印象です!笑
 今後導入を検討される方に向けては、何度も書きましたがWFシステムとの連動が肝 of 肝ですので、社内のワークフロー構築とセットで検討されるとその真価を十二分に享受していただけるのではないかと思います!


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