「空漠」


 ごめんなさい。どうか、聞いて欲しいのです。それはわたしの空漠な思いです。何をしても影のようにつきまとってくる虚無感が、どうにも居心地良いのです。これは一種の病だと自覚しています。大袈裟でしょうが、このままだと生きて新学期を迎える気すらしません。
 そう思い続けても、輝かしい春の訪れは、来ました。時の流れの強引さは残酷ですね。さしずめ、今頬を流れ行く涙の意味も忘れて、死というものもやはり不確定なまま生きていくのでしょう。

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