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ワイルド・オオクワガタ共生酵母菌 単離培養成功!

 久々にオオクワガタ関連トピックで胸踊る気分を味わせてもらえました。
 先日から開始した、ワイルド・オオクワガタ共生酵母菌の単離培養実験、酵母菌の発芽分裂増殖を確認できたので、実験成功です! 無論、わたしが採集した京都市産ワイルド・オオクワガタ由来の共生酵母菌サンプルから抽出、純粋培養したものです。果たしてこの酵母菌が何属なのかは、専門機関で分析してもらわないと不明ですが、わたしが採集した京都市産ワイルド・オオクワガタ成虫と幼虫とに共生していたものであることだけは100%間違いがありません。オオクワガタの共生酵母の場合、Saccharomycetaceae科 Pichia属株ではないかと思われるのですが、実際はどうなんでしょうか。もしも、低予算で分析できるところが在るのなら、調べてもらいたいものです。

ボトル底に乳白色に沈殿した澱状に見えるのが発芽分裂増殖中の酵母菌溜まり

 培養開始後数日しか経過しておりませんし、まだ種菌のスターターが呼吸し始めただけの段階なので、まだまだこれから更に出芽分裂増殖すると思われます。

比較検証のため、種菌と培養液の量を変えて二種用意

 それと今回、サンプル種菌の分量の多少と、培養液量を変えての比較実験検証のためにボトルを2本仕込みました。やはり、向かって左側の高濃度種菌の方が明らかに増殖が早いです。どう見ても低濃度の、培養液の色が透明に近い右側の方は酵母菌は増殖してはいるのですが、未だほんの少量しかボトル底に溜まっていません。

共生酵母菌の垂直伝播と水平伝播

 さあ、これで道が大きく拓けました。
 わたしの仮説ですが、市販のマット飼育、及び、菌糸瓶飼育でのブリード個体は、もう既に共生酵母はロストしており、他の属性の微生物に置換されているものと考えられるのですよね。その見極めは、食痕の色と匂いです。消化器官内の内容物の色が既に褐色化していたり、糞とその塊である食痕が木肌色ではない場合、もう既にロストしたものとわたしは判定してもよいのではないかと考えています。
 この共生酵母は、その場合の移乗水平伝播用としても有効ですし、勿論、ロストした親♀に移乗すれば、以降、その子孫への垂直伝播が可能となります。餌のゼリーに少量添加するだけでそれは実現できるでしょう。生育中の幼虫への移乗用としても有効。また、報文によりますと、雄の顎の発達形成にも共生酵母の影響があるとの記述もあり、特に蛹化前の3令幼虫から前蛹期には必須で、ロストさせてはいけないのかも知れません。
 あとは、オリジナル菌糸瓶に添加して、培地内に生きたまま長期保全させるためにどうすればよいか、です。

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