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明治安田生命J2リーグ第4節 京都vs福岡【レビューのようなもの】

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京都サンガF.C. 2-0 アビスパ福岡

〈勝ちに不思議の勝ちあり〉

「前半は0-3にされていてもおかしくないような場面がありましたが、そこで若原(智哉)が素晴らしいセーブをしてチームを救ってくれました。今日の立ち上がりからの25分ぐらいはあまり良くなかったと思います。うまくディフェンスができなかった。自分たちDF陣が少しふがいなかったかもしれないですけど、その中で若原がすべての失点を防いでくれました。彼は今日のMVPに値すると思います」
ヨルディバイスの試合後コメント

 この試合の内容は、バイスのコメントがあらかた物語ってくれている。京都は前節、飯田貴敬、荒木大吾のサイド攻撃が猛威をふるったが、福岡はここを入念にケア。そのため福岡側のサイド攻撃も打ち消し合うような形でふるわなかったが、28分にエミルサロモンソンがバイスを引っ張り出してクロス→中央のスクランブルから重廣卓也の至近距離シュート(→若原智哉がビッグセーブで阻む)という場面は狙っていた形だっただろうか。福岡はフアンマデルガドへ入れるボールを糸口に、中央から京都の最終ラインを破壊する場面も幾度かあった。それでもスローインの流れからワンチャンスをモノにし、さらにPKで追加点を重ねた京都が勝ち切るあたりは、「勝ちに不思議の勝ちあり」である。

〈森脇良太の真骨頂〉

 リモートマッチでも森脇良太のコーチングの声は中継でよく拾われていたが、その声は、現地に居ると想像以上に響き渡っていた。「切らすな!切らすな!」「集中しろ!集中しろ!」「問題ない!問題ない!」―コーチングといっても、森脇の場合戦術的な指示よりチーム全体を引き締める、鼓舞するものが圧倒的に多い。どんなスポーツでも集中力の持続が結果に大きく影響を与えるもので、集中力がふと切れる瞬間にミスが起こったり、混乱が起こったりするものだが、体力的にキツくなる時間帯やプレーが途切れ一息つくような場面に森脇の声が響く。“危険なスコア”と呼ばれる2-0から、京都がきっちり守りきれているのは、森脇の声の存在がやはり大きいと感じた。もちろんプレー面でもしっかり貢献していたが。
 スタジアムに響く選手の声は、もし両チームの応援が入っていたならばここまで聞こえなかっただろう。陸上トラックがある屋根なしの競技場(=西京極とか)ならばさらに聞こえにくい。応援が制限された中だからこそ、球技専用スタジアムだからこそ、ここまでダイレクトにプロ選手たちの「声」が持つ凄みを体感することができるのだ。ちなみにタクティカルな声かけももちろんあって、「大吾行け!」とか「大吾、中!」など荒木に対する指示が多かった印象。声の主は庄司悦大や安藤淳あたりだろうか。福岡のGKセランテスの指示の声も森脇レベルに大きく、頻繁だった。声が生み出すライブ感は、こんな時期ならではの観戦の醍醐味である。

〈城後寿について〉

 72分に途中出場した城後寿は、これでJ2通算350試合の記録を達成。しかもアビスパ福岡一筋で、である。心からリスペクトできる選手のひとりだ。城後寿のJリーグ初出場は2006年の西京極の京都戦(当時はJ1)なので、おそらく見ているが記憶はない。ちなみに当時の京都のメンバーでは現役を続けている選手はもう誰もいない。それくらい長いキャリアを1つのクラブに捧げているということ。最初の頃はボランチなのかFWなのかよくわからないけど、大きくて強い選手というイメージだったが、なぜか注目したい雰囲気をまとっていた。とにかく劇的な場面でのゴールが印象的で、南鉄平アナウンサーの「じょうごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」という絶叫はもはやJリーグの名物、語り草。そして彼のチャント「♪オー・マイ・ジョ~ォゴ~」(元歌・ジュリアに傷心)を聞くのは毎年の福岡戦の楽しみでもある。キャリアの浅い頃から注目していた選手が、そのクラブでエースに成長し、14年経ってもまだピッチに登場してくることは驚くべきことだし、羨ましいことでもある。こうして相手チームに若い注目株を見つけておくと、将来の楽しみがひとつ増える。この日後半から出てきて京都の守備をかき回した北島祐二はとても面白い選手だった。強気な突破&侵入に加え、ボールを受けるポジショニングにもセンスを感じた。城後のように1つのクラブでキャリアを積むのは難しくなってきてはいるが、彼が5年後どんな選手になっているのか、こっそり見守りたい。

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↑ 城後寿のプロ初出場ゲーム

〈おまけ:そんなことよりサンガスタジアムbyKYOCERAの写真を見てほしい〉

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サンガスタジアムを見ずして最高なスタジアムと言うなかれ

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