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明治安田生命J2リーグ第5節 北九州vs京都【レビューのようなもの】

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ギラヴァンツ北九州 0-0 京都サンガF.C.

〈ヤバいぞ北九州〉

 リーグ再開以来、京都はどういう訳かボールを握りたい“ポゼッション型”のチームとの対戦が多い。磐田、徳島、1つ飛ばして、北九州。この3チームの中でも北九州の戦術練度が飛び抜けて高いと感じた。以下ざっくりと書き出してみる。

▼ボール保持時
1) パスコースを意図的に2つ以上作っている
2) パスを受けるべき位置もだいたい決まっている
3) 限定された選択肢から選ぶだけなので判断が速い
4) ボールを動かして相手を動かしたい・穴を作り出したい
5a) 穴がなければパスを回しながらサーチ⇒遅攻
5b) 穴を見つけたら素早くボール送り込む&呼応する⇒アクション
6) このゲームでは椿直起の単独突破も打開策になっていた
▼ボールを失った時
1) ロストの場面でも人の配置に偏りが少ない
2) ロストの瞬間全員が回収モードに切り替わる
3) だから素早く対応できる
4) 前線で回収しきれなくても慌てない
5) 最終ラインに到達されるまでに守備網を整える訓練はしているだろうなと想像できた
※ただし京都のパスカット&速攻が上回るシーンもあった
▼ボールを奪った時
1) 奪った瞬間が最大のチャンスという共通理解がある
2a) 相手陣形に乱れがなければ、ボール保持モード⇒遅攻
2b) 相手陣形が乱れていれば、素早くボールを送る⇒速攻
3) 鈴木国友が前線の受け手としてとても有能だったが、交代で入った佐藤亮も小柄なのに有能だった
4) オナイウ阿道みたいな選手がいれば得点量産しそう。いや鈴木や佐藤がオナイウになれるかもしれない。
5) 鈴木とか佐藤とか加藤とか高橋とかポピュラー名字が多い
▼相手ボールの時
1) 前線からの積極プレスは鉄の掟⇒一の矢
2) そこで奪えなくても次のパスを狙う準備がある
3) 次のパスの先を読んで回収⇒二の矢
4) 秘訣は選手配置のバランスの良さ
※ただし二の矢のプレスを時々外していた

 それにしても小林伸二監督、非常に規律正しく、誰もサボらず、共通認識に基づいて意図的にボールを動かせるチームを仕上げてしまっている。気ままなプレーはないが、たまに決め事に囚われない創造的なパスも出てくるヤバいチームだ。現状は「チャンスを山のように作るが、とどめを刺しきれない」という印象だが、熟練度がさらに上がって“刺せるチーム”になる可能性は高い。いや、琉球戦や岡山戦は刺しまくっていたが。でもこのチームの一番の肝は「ボール回収力の高さ」だと思う。守備面では、ピーターウタカにしつこく身体を寄せて封じた村松航太は注目の存在。171cm?うそでしょ?早ければ今年中にJ1様から声がかかったりして…。

〈京都は個頼みのチームか?〉

 組織力の北九州に対し、京都は個の能力がクローズアップされていた。確かに局面を見れば、強靭無比な守備力で北九州のエリア侵入を潰しまくったヨルディバイスなど、個の強さにインパクトがある。しかし個々で好き勝手やってる系のチームならば、この日の北九州にはズタズタにやられた気がする。
 今季の京都は、ボール保持型にチームに対しては、相手にボールを持たすことをいとわない。保持型チームは「ボールを動かして、守備網にズレや穴を生じさせる」ことを狙うが、今の京都はそこであまり崩れない。51分に北九州が、右─(大きなフィード)→左─(仕掛け)→中央─(ミドルシュート)―(回収)→右(侵入+シュート)と京都守備陣を振り回したシーンがあった。最後に穴が開いたが、この場面では本多勇喜が駆け戻って対応。守備ブロックの動き方はそれなりに整っている。
 最終ラインの人数の揃え方・スペースの埋め方と、中盤の3人でボールにアプローチして、奪えば攻撃に転じるところまでは結構組織的だ。そこから先の前線はウタカ次第になったが。そのウタカも試合終盤まで守備に奔走するなど、チームプレーには徹してた訳で、完全に個頼みというチームでもない。ただ、FWに荒木大吾を投入した采配はよくわからなかった。監督のチームマネジメント面は評価してるが、采配面はいまひとつ信用できていない。


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