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未来に向けてポジティブな共同親権にするには

みなさんこんにちは。しばはしです。
4/16衆議院本会議で共同親権導入の民法改正案が可決しましたね。

りむすびは「円滑な共同養育を実践するためには、ひとり親→ふたり親という価値観の一新が必要なので、共同親権導入に賛成」というスタンスで2023年2月にパブコメを提出。
今回の法案の内容は「親同士の尊重協力が必要」という文言が入っていることも含め共感できることが多かったので、法案にも賛同のスタンスで2024年4月、参考人として発言させていただきました。

参考人意見陳述&質疑の詳細はこちら↓

共同養育に向けた現場支援を行う立場としては、
共同親権が導入されることで、
・子どもにとって離婚しても父母であることは変わらない
・離婚してもひとり親ではなくふたり親がデフォルト
・父母として関わり続けなくてはいけないという前提での離婚協議を行う
・尊重し協力しあわなくてはいけない
これらが共通認識になれば、子どもが望む「離婚しても両親が争わない社会」を築けることを期待できますし実現できると考えています。

そんななか、法案可決により賛否の論争がやみません。
なにやらすっかり、「共同親権」というワードが、得体の知れない恐怖のネガティブワードになっているように感じます。

反対派の方は「DV夫と共同親権になるリスクを回避するために絶対反対!」
賛成派の中でも本法案では物足りない方は「骨抜きだ。強制力のある共同親権を!」と。意向が違う立場同士が抗戦的…

立場が違えば見えている景色も意見が違うのも当然。それぞれの立場からの見解はごもっともかもしれませんしどちらが正しいもない。
ただ、違う意見に対して真っ向から否定し誹謗中傷するような様子を見ていると、なんのための共同親権導入なの?と疑問が湧きます。
子どものために、明るい未来のために、離婚してもできるだけ争わず尊重し協力し、子どもが父母と関わり続けられる環境をつくるためのポジティブな未来に向けての共同親権導入じゃないの?と。 

りむすびは共同親権導入に賛同の立場ですが、反対派のみならず意向の違う推進派の方から批難をされることも多々あります。

参考人の際にもお話しましたが、あくまで現場支援を通してですが、共同親権になれる素質というか判断基準は、いわゆる「協力的か非協力的か」に尽きると感じています。法案にも「父母が尊重し協力する」「意見が別れた際は父母の関係も考慮に入れる」と書いてあります。

参考人で提出したスライド資料の一部


共同親権導入への賛否で、相手側の意見に対して聞く耳を持たずに反論し批判し自分の主張を押し通すのは、残念ながら両者「協力的な親」ではないですよね。

さて、共同親権がなぜネガティブに捉えられてしまうかというと、「連れ去り」というワードと「共同親権」がセットになっているがゆえに、共同親権は、協力するためのものではなく支配するためのものという色がついてしまっているように感じます。

「連れ去り・誘拐・拉致」というワード、これは立場によって見え方が違います。
別居親にとっては「連れ去られた」、同居親にとってはは「連れて行かざるを得なかった」見えている景色が違うのです。
りむすびでは「連れ去り」という言葉は片側からの景色なので使わないようにしています。「連れ去る」というワードを相手にぶつけることにより、「相手が悪い」と相手を攻撃するスタンスの表明になってしまうことも懸念されます。
相手の罪を問うことよりも、長期に渡り親子が会えない状態にならないように考えることの方が大事なのではないかと考えます。
 
一方で、「合意型 or 非合意型共同親権」についてですが、父母どちらかの感情だけで単独親権になるというのは筋が違うかなと。なぜなら、たとえ協力的な姿勢を見せていても、片方が相手と関わりたくないと思えば単独親権一択になりうるからです。父母の関係性は悪くとも、相手を攻撃せず自分の意向だけを押し通そうとせず相手の意向を尊重できる父母が一定数いるのも支援を通して見えている事実です。
 
いずれかが共同親権は無理!といったからすぐに単独親権、ではなく、共同親権にふさわしい素質(協力的か)があるかを、裁判所が慎重に見極める評価すればよいわけですよね。もちろん、困難なケースな場合には単独親権の選択肢もちゃんと残されている。
裁判所のマンパワーが足りないなど準備が整っていないから反対!という意見も見聞きしますが、法改正が決まっていなければ、なんの準備もすることないでしょうし社会は変わらないのではないでしょうか。施行まで2年というデッドラインがあるからこそ、抜本的な改革に取り組めるのではと思います。

2年という歳月をかけて、賛成派反対派それぞれが、自分の子どもも含め次世代のためにどんな社会をつくって引き継いでいくことがベストかを考え、議員も省庁も裁判所も弁護士会も行政もわれわれ民間も、そして当事者もコミットしたら、子どもが望む「離婚しても親が争わない」ポジティブな明るい未来をつくりあげることができるのではないかと思わないではいられません。
と、小さな民間団体が僭越ながらも声を大にして言いたいですし共に考えていきたいし微力ながらも力になりたいです。

共同親権導入が、さらにネガティブなトピックとなり意見が対立し、争いが激化し消耗していくばかりの現状を打破できないのかなと。

よく企業では、ビジョンミッションバリューを掲げるじゃないですか。
共同親権導入においては、たとえば
ビジョン:離婚後も子どもが父母からの愛情を受けて育つ社会に
ミッション:夫婦が親同士になるために争わない離婚に向けた制度設計
バリュー:離婚=不幸ではなくなることで、結婚や育児に次世代が前向きに

を掲げ、官民学連携し国力総出で優秀な各分野の有識者が集い2カ年プロジェクト掲げたらポジティブな共同親権の社会が実現するんじゃないかなと。入札して民間の大手コンサルタントの力もお借りできたらいいですよね。


制度設計というハード面だけではなく個々のハート面も大事。施行に向けて、離婚に悩む父母は「共同親権ってこわい」というイメージ先行ではなく、「離婚しても父母の関係は続くんだ」「協力的じゃないと単独親権で親権もてないんだ」「争わないように離婚することが大事だ」というマインドセットの移行期間になればよいかなと。

当然、省庁でも司法関係者でもない民間の私には見えていない景色や事情も多くあると思いますが、離婚に悩む父母やその先にいる子どもたちを知る支援者の立場として、もどかしさのあまり自由に想いをめぐらす今日この頃なのでした。
共同親権導入がおどろおどろしいものではなく、次世代が「万が一離婚になったとしても争いにならないなら、結婚も子育てもいいものだな」と思えるような明るい未来のための法制度であることを祈るばかりです。

・・・
<インタビュー記事のご案内>
衆議院本会議可決のタイミングで毎日新聞さんが記事にしてくださいました。久々に当事者としてのインタビュー。離婚からもう9年か。いまや元夫ともさらに良好な関係になり息子も成人。時が経つのは早いものですね。


<書籍のご案内>
そして、2冊目の本が発行されます。発売は5月中旬ですが予約スタートです。初版がとても少ないためご予約がオススメです。
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