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『焼酎粕』を新たな地域資源に。”四方良し”の発想でサステナブルな地域産業へ。

みなさんこんにちは。
「協働」を通じて、日本に熱を生み出したい!
㈱協働日本 広報担当の郡司です。

協働日本は、鹿児島県および鹿児島産業支援センターの令和4年度の「新産業創出ネットワーク事業」を受託しており、2/17(金)に取り組み企業数社をお招きし、報告会を鹿児島県庁にて行いました。

発表会の様子はこちらの協働日本公式noteでもご紹介しています。のでご覧ください!

当日は取り組み企業の一社、株式会社栄電社のバイオ環境事業部マネージャー川路博文氏に、発表会へお越しいただき約半年間の協働の取り組みと成果を発表頂きました。

今回は事前インタビューでお伺いした内容を含め、川路さんにお話しいただいた協働日本との取り組みを通じて生まれた変化や、今後の事業展望への想いなどをご紹介します。

株式会社栄電社
「技術で社会に貢献し、お客様からの信頼によって会社を発展させる」をミッションに掲げる総合電気エンジニアリング会社です。昨今では、時代の要求でもある「新エネルギー開発」や、「バイオ環境事業」を通じて、SDGsにも積極的に取組んでいます。
そんな「バイオ環境事業」の中で、同社は焼酎粕乳酸発酵液「SPL液」の製造に成功。協働日本との取り組みを通じて地元産業の活性化にも挑戦しています。

廃棄物ゼロを目指して。持続可能な資源の循環を生み出し、鹿児島県の産業全体へ貢献したい

焼酎粕とは、酒粕と同様に、焼酎の製造過程で出てくるものです。
たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が含まれていますが、粘性が強く取り扱いにくく、再利用が難しいという特徴があるため、ほとんどは再利用されず廃棄されているのが現状です。出来上がり量よりも発生量が少なくなる酒粕と違って、出来上がりの焼酎の約2倍もの量が発生するため、それだけ廃棄コストも嵩んでしまうなど、地元鹿児島の多くの焼酎メーカーにとっての課題の一つになっていました。

今までの焼酎粕の処理法というのはメタン発酵により一部をガス燃料にしたり、農地に肥料として撒いたりすることが多く、あくまでも産業廃棄物の処分という考え方でした。私たちは、この焼酎粕を産業廃棄物ではなく「地域資源」として活用できないかと考え、鹿児島県内の焼酎メーカーさんや様々な大学機関と連携して2017年から研究開発を始めました。

そんな中で完成したのが、焼酎粕を乳酸菌発酵させて保存性や取扱性、有効成分が強化された、飼料・肥料として使える「SPL液」です。焼酎粕の全量を使うことで廃棄物ゼロも実現し。特許も取り、実証実験も重ねて、幅広い用途で活用できる効果性も少しずつ判明してきました。

いざ焼酎粕の活用の可能性が見えてきたものの、「実証の成果をどのように事業に結び付けていけばいいか、ターゲットをどう絞っていくか」という次の課題が浮かび上がったんです。

チームとして向き合う一体感と、多角的な視点から一貫性を持ったアドバイスが社内に新風をもたらす

課題解決のためにスタートした協働日本との取り組み。協働プロの皆さんの伴走支援では、特にターゲット設定の部分を助けていただきました。実証実験の結果では、肉牛・乳牛や養殖魚への飼料利用、水稲への肥料利用など様々なケースにそれぞれ良い結果がでていたので、具体的にターゲットをどこに絞って活用を広げていくかという部分を定められていなかったのですが、協働プロの皆さんと検討を重ねることでターゲットを「乳牛」と「魚の養殖」の2つに絞ることができました。

どうしても私たちは「鹿児島」らしさや、市場の大きさから、全国一位・二位を誇る飼育数の豚や肉用牛の飼料として「SPL液」を活用することに目がいっていたのですが、実証実験の結果と酪農家の抱える課題の一致性、時流などの観点からのアドバイスをいただいたことで、フィールド試験結果を元にして「より収益化に繋がりやすいもの」というヒントをいただきました。

新しい気づきや視点で、今まで考えなかった方向に進むことができたことは大きな変化でした。社内の人間だけで検討を重ねると、似た議論が続いたり、考えが凝り固まってしまっていて、どうしても全員同じような方向に向かってしまいます。

私たちの収益化にも繋がりやすく、効果も出やすければ、事業も広がりやすくなるので、結果として「鹿児島の地域産業」に大きく貢献できるわけです。新しい視点によって道が拓けていった感覚が強いです。

コンサルではない、同じチームとして向き合っていただいていることも本当に大きいです。当事者目線でいろんな相談に乗っていただけるので、共に事業を作っていっている実感があります。実際、「SPL液」の販売という課題をテーマに協働がスタートしましたが、販売や収益の視点だけでなく「鹿児島県の地域産業全体に貢献したい」という私たちの本来の想いの実現方法を一緒に考えていただくことができました。

“四方良し”のビジネスモデルで、鹿児島県に更なる飛躍を

今後は、酒造メーカーさんご自身が製造設備を持って「SPL液」を作っていただき、「SPL液」を畜産・養殖業社の方に直接販売していただくという事業モデルを検討しています。

酒造メーカーさんとしては、自社で「SPL液」を製造することで処理費を軽減できます。実は焼酎の製造期間というのは、毎年9月から11月と非常に短いのです。でも、「SPL液」の製造・販売という業務ができることによって閑散期がなくなり、従業員の方たちを年間を通して活用しやすくなります。当然、「SPL液」の販売による増収を見込むこともできます。

先ほど述べたように、畜産農家さん、水産養殖業の方たちに対しても、「SPL液」を活用していただくことで大きなメリットがあります。「SPL液」の栄養吸収率の良さから、生産コストの削減に繋がります。乳牛であれば、一般的に乳量が減る夏場の牛乳の安定出荷、養殖魚であれば鮮度が長く保てることや、味の良さなど、それぞれの付加価値向上が見込めるんです。

もちろん私たちとしても、提携する事業者が増えることで製造設備の建設という仕事が発生するわけです。

鹿児島の名産品である焼酎から、廃棄物ゼロ、循環型の経済を実現し、それが地域の他産業にも活かされていく。全員がWin-Winになる形で地域の活性化が図れると考えています。

編集後記

鹿児島を代表する産業のひとつ「焼酎」から排出される焼酎かすを活用した新事業への取り組みは、発表会に参加した鹿児島県の職員の皆さまのみならず、他の事業者様もペンを走らせながら、興味深く聞いておられました。

報告会終了後に開催した交流会でも、鹿児島県内の地域や業種を超えた繋がりが生まれており、次なる「協働」が誕生する予感が生まれていました。協働日本の伴走支援中に大手事業者との事業化が決まるなど、既に大きな事業進展が生まれております。

今後も栄電社の技術によって実現した、サーキュラーエコノミーモデルの発展に向けて、今後も協働メンバー一同でお力添えできればと考えております。

▼インタビュー全文はこちらから

STORY:栄電社 川路博文氏 -『焼酎粕』を新たな地域資源に。”四方良し”の発想でサステナブルな地域産業へ-


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