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PR活動実践ノウハウ50(初心者の為の広報活動ガイド)

ビーコミは10年以上前に設立されたPR会社です。主にBtoBのIT企業向けに広報の支援サービスをやっています。お客様の半分は海外の企業です。

さて、広報初心者の方にお会いする事があります。1人広報でやり方も知らずに戸惑っている場合もあります。

会社が担当者に研修を受ける場をつくったり、経験者を雇ったり、力を入れて欲しい分野なのですが、なかなか難しいようです。広報活動の出遅れで失敗する会社もありますよね。

とりあえず、初心者向けの基本ノウハウを一気に公開する事にしました。

これからプレスリリースを書きたい、記者に集まってもらって発表をしたい。でもやり方が分からない。質問しようにも社内に聞ける人がいない。些細な事でつまづいている。と言う人向けです。そうではない人には既に知っていることばかりが書かれています。

ここ10年ほどの間にブログで公開して来た内容を中心に、良く質問される内容を選んで再構成しました。約20000字(400字詰め原稿用紙50枚)、50個のノウハウ(3つおまけ付き)です。

以前某PR会社の社長から「加藤さんのブログを印刷して新人研修に使っています」と言われた事があります。「え!」と思いましたが、褒め言葉で言ってくださったんでしょう。とにかくその位のレベルの内容だと思ってください。

正解は1つではないので、ここに書かれている事以外で正しい事、効果のある事もあると思います。

また、一部の内容は古くなっているかもしれませんし、コロナ禍では状況が変わっている可能性もあります。その場合は「今だったらどう動くか」を考えて、少し工夫していただけたらと思います(将来的にアップデートしたコンテンツを公開するかもしれませんがまだ未定です。これはコロナ前に準備したコンテンツです。ご承知おきください)

広報戦略の話は出てきません。戦略の立て方などはこのコンテンツには入れていませんので誤解のないようにお願いします。現場のノウハウに特化したコンテンツです。前半の一部を読めるようにしてますので、「自分に合うか」を確認してから購入してください。

1. 手段をプレスリリースに決め付けない


新製品の記事をたくさんオンラインメディアや新聞、雑誌に取り上げてもらうことが目標なら、その手段を「プレスリリース」に決め付けてしまうと、活動が狭まってしまいます。ネタが大きいのに、記者にプレスリリースを送るだけだともったいなさすぎます。 


経験豊富な、ある担当者は1つのネタで、プレスリリースは出さず、記者向け説明会とインタビューを複数組み合わせ、大きな成果をあげていました。多分IT系の主要なオンラインメディアには全部記事が出て、紙媒体も著名な雑誌複数に掲載されました(もちろんご本人の負担は多く、たくさん残業されていたようですが)。


プレスの後にカンファレンスがつくのか、リリースがつくのか、インタビューがつくのか、手段は内容に応じて複数組み合わせていきます。


まとめ:とりあえずプレスリリースと決め付けない


2. プレスリリースの書き方


1)他社製品との違いを明確にする。
あれもできる、これもできるという特長は、他社さんも書いてきますので、当社にしかできないのはこれ!というものがあればそれを前面に出すといいと思います。あとはスッキリ削っても(機能全てを網羅しなくても)よいのです。


2)経緯や過程を説明する
製品がある日突然生まれたわけではなく、おそらく開発の背景にはいろいろなご事情があったと思います。例えば「なぜ建設業向けを最初に出したのか?」などのご説明が加われば、記者も納得しやすいと思います。他にも「お客様からこんな声が寄せられたので、こういう機能を作った」など・・・。


まとめ:違いとストーリーが大事


3. 自分だけが嬉しいニュースだと一味足りない

プレスリリースの準備をしたり、内容チェックを頼まれたときなどに、いつも気をつけるポイントがあります。それは、自分だけ(当事者だけ)が嬉しい内容になってしまっていないかということです。

新製品を出しました。すごいでしょ!!!●●っていう機能があります!それには△△っていう技術を使ってるんです!

で終わってしまっていないでしょうか、ということです。今世の中がどんな状況で、既存ユーザーやこれから買う人がどのようなインパクトを受けるか、どんなメリットがあるのか、それは過去にもあったものなのか、今までのものとどこが違っているのか(値段?機能?提供方法??)などが示されていないと、単に自分の製品をほめているだけで相手に良さが伝わりません。

先進の技術△△を使ったと言っても、説明文がないと、どこがどう画期的なのかわかりません。記者はすべての世の中の技術を知っているわけではないですし、場合によっては、担当外の方が記事を執筆することもあります。

自社の製品のすごさに酔いしれてしまい、客観性がなく、専門用語満載、自画自賛で誉めちぎっているプレスリリースをみかけたこともあります。

それだと、読者にとって役立ったり、画期的だったりするかどうかがわからないので、記事にはなりません。

特に外資系の場合は、いろいろ制約が多いこともありますが、まず記者に理解してもらえないと始まりません。

結局は記者に読んでもらって、内容を理解してもらって、更にそれが「読者に対して有益な情報だ」とわかってもらい、その後記事にしてもらい、読者に伝えていただくという一連の流れがうまく流れなくなってしまいます。

プレスリリースは「記者の方が記事を書くための材料をまとめたもの」という原点に返って、わかりやすい内容を心がけたいものです。


まとめ:プレスリリースは受け手を考えて作成

4. プレスリリースの送付先をリスト化する


「プレスリリースの送り先はどうしたらわかるの?」という質問を受けることがあります。PR会社と契約している場合には、そのような心配はいらないかと思われますが、社内で何でもやらなくてはならない中堅、中小企業の場合や、スタートアップの場合、プレスリリースを書いたものの、どこに送ったらいいのかわからないという悩みがあるようです。


そんなとき私が質問するのは「どの媒体に載りたいですか?プロスペクト(見込み客)はどの媒体を読んでいますか?」ということです。それにより、送り先はおのずと絞られます。そして、送り先がわからないときは、まずその媒体を見るようにします。媒体によってはプレスリリースの送付先が明記されていたりします。書いてある場合は、そこに送れば大丈夫だと思います。


書いていない場合は、相手に聞けばいいのかなと思っています。電話をして「プレスリリースをお送りしたいのですが、どなた様宛てに送ればいいですか?」などと確認すればいいのです。私も先日は某媒体に電話をして、その媒体の記者全体に届くメーリングリストを教えていただき、リリースをそちらにお送りしました。


まとめ:プレスリリースの送付先を調べてみよう


5. プレスリリースのエンドースをどうするか


エンドースメント(エンドース文などとも言いますね)とは、○○さんはこう語っています、みたいな、著名な人のポジティブなコメントのことで、たいていは「こう書いて欲しい」というサンプル文を作って、先方(クライアント企業やビジネスパートナー)に許可をもらう形になります。


このエンドース、ある記者に聞いたところ「あってもなくても、別に記事にする、しない、に関係ありませんよ。ここに時間を使うなら、早くタイムリーにリリースを送って欲しいです」と言われました。しかしながらこれをとても大事なものだと捉えている企業も多いようです。(特に外資系)


さて、実は先日某社のプレスリリースを読んでいたら、そのリリースのエンドースはなんとブロガーでした。


ちょっとおもしろかったので、気になったリリースでした。多くの場合は著名なユーザー企業や、著名な販売代理店などがコメントを寄せることが多いようです。


まとめ:エンドースは無理しない。ブロガーも印象に残る


6. そのプレスリリースで記事が書けますか?


お世話になっている、あるベンチャー企業のマーケティング部長さんとお話をしていて、プレスリリースの話になりました。その方曰く、プレスリリースのレビューを頼まれたら「この内容で記者の方が記事を書けるか、頭の中でプレスリリースを書いてみる」とのことでした。


これをやると、抜けている情報や、足したほうがよい情報、なくてもいい情報などが見えてくるそうです。


無意識のうちにこれをやられている方もいると思いますが「何故うちの会社のリリースって全然記事にならないんだろう?画期的な内容なんだけどな」という方がいたら、このような視点で見直してみてもよいかもしれません。

まとめ:自社のプレスリリースを元に頭の中で記事を書いてみる

7. プレスリリースの「てにをは」

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