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ある小劇場系トークから

 この話をたらたらまったりゆっくり書こうかとだらだらしていたら(まだだらだらしている)、書きたい「次」が来た。そこと比較するポイントがあるため、書く。

 「敗れざる者たちの演劇志 流山児祥×西堂行人トーク」(全6回)の最終回「演劇志をいかに継承するか(2011~)」を観た、というか聴いた。
 このトークシリーズは、昨年からとびとびに開催されてきたものらしい。
 流山児祥(1947~)のアングラ史、小劇場演劇史的なものを、ゲストも交えて演劇評論家の西堂行人(1954~)が時系列でしゃべらせたもの。書籍にするらしい。アーカイブの一部は流山児事務所公式チャンネルにある。

ザ・業界トークfrom周縁、いやそちらこそ周縁?

 アングラはもとより、小劇場という言葉自体が最近あまり語られない。商業演劇っぽくない方をやってる、「演劇」っぽい人たちの話、というか。見に来ている人も濃いというか関係者多しの面子であろう中で(現場にいると、目くばせなどを通じてそれは体感する)、興味はあるが部外者の自分が聞いているのは何だか腰が落ち着かないようでもあったが、まあ、それなりに自分も学ぶことはあった。
 当たり前だが、演劇界の何さん何さんやら芝居の話が飛び交う(それでいいと思う、だから濃い話ができるのだ)。ザ・業界だな
 いや、しかし、演劇とはもともと周縁から中心へのベクトルを持ちつつ、永遠の周縁性を持ち続けるものではないか。体制側になったら終わり、なんであろう、どう考えても。……その業界を見る周縁の自分は巡り巡って中心か??

 ……演劇人とは何か、というのが演劇の端っこの少し外側にいそうな自分のここしばらくの問いの一つであった。客観的に「いい」「上手い」が評価しにくい世界(反対の「下手」「手抜き」はすぐわかるのに)。客の入りは商業演劇に及ばず、劇場が狭ければ旧来のファンで埋めつくすことは可能だ(その作品が人気で新しい客を呼べたかが計測しにくい)。
 で、今回トークを聞いていて、その「業界」に属していると“仲間”に認知されていることがひとつの基準とも感じた。「芝居を続けているかどうか」「業界内で一緒に仕事したかしたいかどうか」が一つの基準だ。……なんだ、サラリーマンじゃないか、いや、個人事業主の集まりか。フリーランス。ふむ。……と、どうでもいい思考。

 書籍化するということだが、メモした断片を備忘録で書く。ほとんど見られていない書きなぐりなので、ゆるしてちょ。

演劇は初動は早いが忘れる、そして継承されない

(流)あの時、何が起きたか。みんなすぐ忘れちゃう。福島とか
(西)即応答する演劇。3/11、コロナ等、演劇は映像や文学より立ち回りは早い。しかしその後「忘却」してしまう
(流)(今の演劇は)助成金をもらって助成金向けの作品を作っている
(流)自分んとこ(流山児★事務所)がアングラを手掛けるのは継承されていないから。

今はユニット制が主流、学生演劇からコンクール系へ

(流)小さいユニット4~5人、作・演出でやるのが目立つ
(西)(劇団で)演技論で鍛えてきたものと違う
(流)昔は学生演劇から出てきた人が多いが、今は「若手○○コンクール」みたいなコンクール出なのかな

なぜ集まるのか、集団の想像力

(流)客が来る以上、やらないといけない。お金というよりそれを選んでいる集団。完璧も上手い下手もない。たまたま集まった人間が何するかしかないんじゃない。
(流)集団になぜいたいんだ。金にならないが面白い出会い。いろんなジャンルの人と会える。絶対こうだというのはない。(百貨店的ではないという意味で)コンビニでもスーパーでもいい。大きいのもいいけど、小さいのもやれ。
(西)媒介者、越境させる

加害者の失敗した歴史を書いてきた唐さん

(流)集団の持っている想像力。現代は怒りがない。アングラの唐(十郎)さんは「加害者の歴史」、失敗した歴史を書いた。新劇などは「被害者の歴史」を書いてきた(のでは)。

同じような役柄をやることになるユニット制

(シライケイタ)(俳優のキャリアどうするか悩んで作・演出の方にも来たが)看板俳優ってなんですか、俳優力の復権を考える
(西)交換可能な俳優ばっかり。プロデュースで、似たような俳優ばっかり同じような役柄。劇団は無名のやつがあつまって修行して人間力を上げていく。同じ劇団(の中)だと、ある俳優がために違う役をやるとかあって。小林薫とかそうだった。
 今のプロデュースだと、そのまま(=役柄がいつも固定された人を選ぶ?)。
 (この後、誰だったか不明)自分ひとりの力は何でもない、集団でいるから面白い。演劇は集団。全員が主役だった。
 そうすると、全員が看板俳優とかあるよね、それだと5人が限界か。チョコレートケーキとか。

 ……この、最後の方の混沌が面白い。
 今は都度集まって上演するユニット式が主流だが、それだともし選ばれたとしても、俳優の「得意部分」「はまり役」のところばかりピックアップされて、なかなか育っていかない(おそらく、監督が個性をピックアップする映像も似たような感じかな)。劇団は……というあたり。

 この話をもとに、「次」を書きたい。



 
 
 

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