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【農業】私のおばあちゃん#003

去年参加したコミュニティがきっかけで、本業と並行して実家のぶどう園と畑の手伝いを始めることにした(いわゆる兼業農家)のですが、その原点とも言える祖母の話を書き留めておきたいと思います。

もうすぐ91歳になる祖母。
優しくてほのぼのしててお年玉沢山くれて・・といういわゆる”おばあちゃん”像とは正反対の性格で、自分にも他人にも常に厳しく、甘ったれたことを言うとピシャリと叱られる。子供のうちからお金持たせていいことはない!とお小遣いなんてもらったことは一度もありません。
2世帯住宅のような実家に住んでいたので、祖母がふいに現れると背筋が伸びるようなそんな存在でした。

専業農家の我が家に嫁に来て、家のこと・農業のこと・義父母の介護など全部を切り盛りしていた祖母。嫁が何か意見を言えるような時代ではなく、義父母や祖父の言われるがままに働き通しだったようです。
そんな中でぶどう園を任されたことがきっかけで、ぶどうを育てることに生きがいを見出したのでした。
”ぶどう園はな。唯一の私の居場所やったんや。
初めて自分一人で思うように育てられる場所をもらえて、嬉しゅうて嬉しゅうて。
嫌なことがあっても、ぶどうがあるから頑張れた。”
米やキャベツなどその他の田畑は指示されるままに動くしかなかったけれど、ぶどう園だけは自分が自由になれる場所だったと嬉しそうに話してたっけ。

最近ぶどう園の手伝いを始めて実感するのは、祖母のアイデアやひらめきの力、忍耐力がすさまじいということ。
なるべく費用をかけず、手元にあるもので何でも作ってしまう。ぶどう園の扉やぶどうを支える柱なども竹やぶの竹を活用したり、ぶどう園の土壌作りに馬糞を敷き詰めてみたり・・・祖母のアイデアを今は両親が引き継いでいるけれど、最初に「やってみよう」「こうしたらどうか」とひらめき、それを実行した祖母はやはりすごい。
あと忍耐力。ぶどう園に限らず、農業はひたすら肥料をまく、水をやる、草をぬく等とにかく時間のかかる作業が多いのです。祖父が亡くなってからは、暑い日も寒い日も、朝から畑に出て一人で黙々と作業をしていました。今は両親と私の3人で農作業していますが、これを1人で回していた祖母の体力・辛抱強さには脱帽します。

もう少し生まれる時代が遅ければ、女性起業家とかで成功していそう。(人の意見を聞かない欠点も持ち合わせてるので、ワンマンになりそうだけど。笑)

"若い頃の苦労はこうてでもせえ(買ってでもした方がいい)"
私が辛そうにしてると、祖母がこの言葉と共に励ましてくれたのを思い出します。苦労の連続だった日々を乗り越えてきた祖母らしい応援だったなぁ。
振り返ってみれば、ほんとにその言葉通りで、辛い経験はその後の人生を生きる糧となっています。

そんな祖母の人生に彩りを与えたぶどうを私も作ってみたい。
できるか分からないけど、まずは一歩踏み出してみよう。
そんなわけで、私の兼業農家生活がスタートしました。

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