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介護私記 ほうじ茶とお茶は大きな違い20230421

 何も食べない2日目、朝起きると右目にたくさん目ヤニが溜まっていた。少しほんの少し腕を動かすだけでも痛いのだろう、昨日は何かと涙を流しながら苦悶の表情を浮かべていた。だからだろうか。
 変わらず食事は受け付けないので、ポッキーぐらいの棒の先星型のスポンジがついた口腔ケア用品で口の中を湿らせる。まず水で汚れを拭い、新しいスポンジに変えてお茶を口の中へ。歯ブラシは出血するため使わない方がいいらしい。10時ごろ起きる遅い朝だった。
 午後になると訪問看護師さんがくる予定なっていた。いつものベテランさん1人と緊急でこの土日対応してくださる方と2人で。処置はいつも通り排便コントロールのための浣腸、足の傷の洗浄と処置、陰部洗浄、褥瘡の洗浄と処置、おむつ交換、口腔ケアとテキパキこなしていく昨日も言われたがたくさん話しかけてあげてくださいと。そして最後にお別れに際してという冊子を渡された。明言はしなかったがあと3日怪しいということだろう。写真や最後に着せてあげたい服を用意しておいてくださいと。こちらの気持ちを察してか看護師さんは明るく振る舞っていたようだった。そう言うと家をあとにした。次に訪問看護師さんが来るのは4日後。
 看護師さんが帰り家に祖母と家族のみになると私は時々祖母の口を潤しにベット横へ。私としては祖母が若い頃を知らない。物心ついた時から”おばあちゃん”だった。関係的にも年齢的にも。小さい頃は厳しかった。特に祖母の作る料理が好きでなかった。煮魚と煮物がよく食卓に上がった。今はそうでもないが、当時は肉が食卓に上る日が少なすぎると不満だった。そんな祖母も6年ほど前から料理もできなくなった。軽い認知症から始まり最後は徘徊まで。ご近所さんに頼んで一緒に探してもらったこともあった。そんなことを祖母の横で思い出している私。声はかけてみても、目は半開きでうんうんと頷くだけ。まぁ仕方ない。
 一旦部屋に戻りこのテキスト書いてる。明日はほうじ茶を買ってきてあげるね。おばあちゃん。

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